静かに侵攻する、沈黙のゾンビ
文字数 1,224文字
リリアンから連絡を受けたサキュバスの娘達は、
総出で渋谷に集結してゾンビ撃退にあたった。
もちろん、そこには
これだけ群衆の中に紛れ込まれてしまうと
魂を見て感じることが出来るサキュバスにとって、
仮装した人間と本物のゾンビを見分けるのは
容易いことではあったが
広範囲攻撃では
人間にも被害が出る可能性がある以上、
各個撃破して行くしかない。
そして、戦闘タイプではない
サキュバスの娘達からすれば、
タフで打たれ強いゾンビを
一体完全に沈黙させるだけでも、
なかなか骨が折れることでもあった。
リアルゾンビの首をはねた。
しかし、ゾンビは
ただの首無しゾンビとなっただけで、
活動を停止することはない。
この世界の人間達は
ハロウィンの演出だと信じて
能天気に傍観を続けていたが、
これもそもそもネクロマンサー幼女が、
人間の思考能力を低下させる術を結界のように
このエリア一帯にかけていたからだ。
今なお渋谷駅周辺に居る人間達は、
ゾンビの身を守る為の
肉の盾にされているようなものだろう。
前回大活躍であったプリースト達。
東京及び近郊在住のプリースト達は
ほぼすべて渋谷に集結していたが、
それでも今回のゾンビの増殖には手を焼いていた。
目に見えた形での大ピンチではなかったが、
まるで真綿で首を絞められているような、
バッドエンドに近づいている感覚。
以前、行き過ぎた正義を振りかざして
神の怒りを買い、堕天仕掛けた三人組の天使達。