少子高齢化なので、異世界からの移民を認めます
前のエピソードへ「一つの肉体、二つの魂」
文字数 1,692文字
ロジャー・ズウォーカー
だけど、それは実は
ロジャーの肉体に魂を移した
ロマンジィン・ズウォーカー
その人だった
見切りをつけたあんたは
ロジャーの孫娘である
ローリィ・ズウォーカーの肉体に
魂を移し替えた
見切りをつけて
こっちの世界に密入国して来た
まさか、こんな腐れサキュバスに
何度も煮湯を飲まされるとは
千年生きてる訳じゃないしね
この体にまだ留まっているこの娘の魂が
不純物となって、
ワシの思考を鈍らせているというのか?
娘の魂を消し去らねばならんな
どう思うかね、お嬢ちゃんは
瞬間移動なら、もう使えないよ
簡単に言えば結界を張ってあるから
このビルにピンポイントで
アンチ転移フィールドを展開している。
俺達に渡すって約束だからな
伝説の死霊術師の魂だからな、
究極の禁忌魔法で
丸ごと焦土にしてくれるわ
あんたに用があるんじゃあないんだよ
その肉体の本来の持ち主、
お嬢ちゃんの魂のほうさ
この娘の魂は
今すぐにでもワシがデリートしてくれるわ
聞こえてるんだろう?
魂ごと存在を消されちまって
無かったことにされちまうよ?
あたしの術にかかってくれないかい?
あんたは間違いなく助かるんだよ
愛倫(アイリン)の呼び掛けに、
娘の肉体、その本来の持ち主である魂が反応する。
生まれ時からずっと
『お前は単なる
肉体の器に過ぎない、
余計なことは考えるな』
ご先祖様にそう言われ続けて来た
その言葉に縛られて、
ただの肉体の器として生きて来た
こんな腐れサキュバスの甘言に
釣られおって!
他の魂に肉体を乗っ取られるなんざぁ
心の動揺や隙、迷いや弱みにつけ込まれた時に起きるもんなんだよ
スペシャリストである
サキュバスのあたしが言うんだから、
間違いないよ
生まれた時から洗脳して
逆らえないようにしていたみたいだけどね
鋼のメンタルにしてあげようっていうんだよ
あたしの催眠能力でね
ワシの、このロマンジィン・ズウォーカーの縛りから
逃れられる訳はなかろう
気づいてないんだね
まぁ、ただの肉体の器としか思ってなかったんだろうね
この娘はあんたに匹敵するぐらいの
潜在能力の持ち主だよ
私が保証しよう
どいつもこいつも!
笑わせるな
未来永劫
ワシを超える人間なんぞ現れぬわ
なにせ千年以上に渡る
叡智と技能を蓄積した人間だぞ!?
神すらも超えてみせるわ!
ワシは神になるのじゃっ!
本当はあんたも気づいてたんだね
大したもんなのに
こんな大掛かりな召喚に付き合って
それでもまだ無事なんだからね
いつまでも言っておるのじゃっ!
この腐れサキュバスめっ!
肉体を乗っ取られるのは
心の動揺や隙につけ込まれた時だって
ちゃんとこっちの意図を
汲み取ってくれたようだね
賢いんじゃあないのかい?
★いいね!
ファンレターを書く
次のエピソードへ クソみたいなご先祖様
作品お気に入り
登場人物はありません