悪魔の侵攻、物量作戦
文字数 2,267文字
その場に居た最後の悪魔を
両手に握る二刀の剣で切り倒し、
悪魔の返り血で全身血まみれの
人間相手には
悪魔相手には容赦がない。
意識を集中させて、今現時点で
悪魔の気配が密集しているポイントを
探り当てる
そう言うと
それの衝撃で大きく空いた穴から
船内の下の階へと降りて行った。
慎之介が空いた穴を覗き込むと、下の床までは
マンションの二階以上の高さがありそうだ。
悪魔の気配が密集している場所に辿り着いた
侵攻する悪魔達の背後、
船の内壁には巨大な紋様が描かれている。
悪魔の力により生成された
あちらの魔界とこちらの世界を繋ぐゲート
そこから次々と下級悪魔達が
今まさに送り込まれて来ているのだ。
ゲートの現出など
そう簡単に出来るものではない。
今回の事件、背後の黒幕には
最高位レベルの悪魔がいるということだろう。
それからはただひたすら
目の前に居る下級悪魔の大群を
撃ちまくり斬りまくった
どれぐらいの時が経ったのだろうか、
時間密度が濃すぎて
それすらもわからない。
永遠なのかもしれないし
一瞬なのかもしれない。
悪魔の返り血を浴び、血にまみれた女、
ハァハァと息を切らせ肩を揺らしている。
もう銃を出すことは出来ない、
残された武器は
右手に握る一振りの剣と背中の羽根だけ。
自らの魂の一部や霊力、
生命エネルギーで武器を生成する
エネルギー残量がそのまま武器の残存数に直結する。
つまりは
もう既に残りわずかということに他ならない。
だが
他の下級悪魔とは明らかに異なる気配が
ゲートから出て来たのを感じる。
おそらくは下級悪魔達の指揮官に相当するだろう
中級レベルの悪魔。
舌打ちする
目論見は上手くいきそうにない。
指揮官の指示に従い
統制の取れた悪魔というのは似合わないが、
これ程厄介なものもない。
中級悪魔は馬鹿にしたように笑う、
弱っている者をいたぶるというのは
清々しいぐらいに悪魔らしい。
虚勢を張るような状況ではないが、
それでも強気に相手を挑発する
そうここで挑発に乗って
自ら突っ込んで来てくれるようなら
まだワンチャンス可能性はあった。
これ以上のエネルギー消耗を避けるため
自らの間合いに入っ来た者だけを叩き斬るカウンター、
それが
突然その名前が出て来たことに
驚きを隠せない中級下衆。
こちらの世界では
スペイン語で悪魔の意味を表すディアブロ、
その名を冠する程の最高位レベルの悪魔。
あちらの魔界とこちらの世界を繋ぐ
ゲートですらつくり出す程の力を持っている。
そして
縁が無い訳ではない。