ヴァンパイアと外来種
文字数 2,140文字
ヴァンパイアは、実家とも言える古城の窓から外を覗く。
ガシャンッ!!
人間が投げた石が
城の窓ガラスを突き破る。
慌てふためき外へ飛び出すヴァンパイア。
まさかこちらの異世界で
人間世界の蚊が大量発生しているとは、
ヴァンパイアでも思いつかない。
ヴァンパイアが帰省する際、
体や衣服についていた数匹の蚊が
一緒にこちらの世界に渡って来たのだ。
蚊は異世界の環境にも問題なく適応し、
あっという間に数を増やして
人間の血を求めて飛び回るようになっていった。
押し寄せた人間達とヴァンパイアが揉めていると……。
プゥゥゥゥゥーーーーーン
その場に集まっている人々は、堪え切れずに耳を塞いで苦痛に顔を歪めた。
ヴァンパイアが見上げるとそこには、
地上に大きな影を落として
空を覆い尽くさんばかりの巨大な蚊の姿が……
人間世界で蚊を見ていたヴァンパイアにはそれが巨大な蚊であることは分かったが
異世界の住人からすれば、それはただの新種のモンスターにしか思えなかった。
プゥゥゥゥゥーーーーーン
プゥゥゥゥゥーーーーーン
プゥゥゥゥゥーーーーーン
プゥゥゥゥゥーーーーーン
またしてもヴァンパイアは反省会を開くのだった……。
命からがら、なんとか逃げ切ったヴァンパイア。
ヴァンパイアは夜逃げでもするかのように
人間世界へと戻ることに。