悪魔の招待状、慎之介のリスト

文字数 1,983文字

……よし

メディアの記者や裏ルートの情報屋等の協力を得て、

資産家、経済会、政府要人や著名人など、

その中から悪い噂がある人物をピックアップして

百名のリストを作成する慎之介。

――このリストの精度が

今後の局面を大きく左右する

金、地位名誉、権力を持つ者達の中で、

反社勢力と付き合いがあると黒い噂される者や

常軌を逸した好事家(こうずか)などが対象だ。

――この中から一名でも

悪魔からの招待状に反応して

何かしらの動きがあった人間がいれば


そこから手掛かりが掴める可能性はある

百名全員が当たる必要はなく、

たった一人、一パーセント当たればいいのだ

拙者の忍者仲間を総動員するでこざるよ
ありがとうございます、

お願いします

他にも、こちらから

有翼人のみなさんにも

協力をお願いしていますので

慎之介はニンジャマスター率いる忍軍や

異世界から来た住人達に、


リストに記載されている百名の

ここ数日の動向を探ってもらうように依頼する。

仲介組織の存在については、

慎之介一人ではどうにもならないので

上長を通じ協力要請して、

政府の然るべき機関に動いてもらうことに。

――異世界人を大量動員した

ローラー作戦ではあるが、

期間はおそらく短くていい

手遅れではなければ、

数日の内に何か動きがある筈なのだ

悪魔からしても、

人魚の行方不明事件


その騒ぎが大きくなる前に

売り捌きたいと思っているだろう

次の日、早速動きは見られた。

忍軍が動向を探っていた

慎之介リストに名前がある人間、その内の二人が

東京湾に停泊中であるクルーザーに

乗船したと連絡があったのだ。

――作成したリスト、

そこに名前が乗る二名が同じ行動を取る確率


それはどれぐらいのものだろうか……

悪魔の招待状を受け止った者である可能性は十分に高い

現場で尾行している

忍軍から送られて来る映像を見つめる慎之介。

――ここが取引現場なのか?

人魚だけで少なくても

七名はいる筈なのだが


それに対して

招待者が今のところ二名


仲介者と見張り役も

少なくとも二名は必要だろうし


それだけの人数が乗っているにしては

船舶がやや小さいように思われる

――ここが取引現場でいいのか?

ここで判断を間違えると


せっかく掴んだチャンスが

潰えるばかりか


人魚達の命を危険に晒すことになるかもしれない

――よく考えるんだ……

悪魔達の思考パターンを……

狡猾だと言われる悪魔が

日本国内の都心を取引現場とするだろうか

しかも我々が知る限りでは

こちらで最初の大きなイベントの筈


失敗は許されないのではないか……

…………
――そうか、買春ツアーか……

おそらくここは目的地ではない


ここに集まった人達を

本当の目的地に移送させる筈

――では、その目的地とは

一体どこなんだ?

さらに慎之介は愛倫(アイリン)の過去を思い出す。


ここは法が律する世界、悪魔が居た異世界は

法の影響力が弱く力が支配する世界。

!!

あえてこちらのルールの中に、

法が律する世界に入って来る必要があるのか?

しかしこちらの世界の者達を

異世界に連れて行くのは不可能


だとしたらどういう方法を取るか……

東京湾に停泊している船から

最短で日本の領海をギリギリ越えた辺り


公海に不審な船舶はありませんか?

……
……

上空から捜索を行っていた

サキュバスの娘達と有翼人らが


慎之介の連絡を受け、

領海付近を偵察すると


巨大客船が停泊を繰り返しながら、

ゆっくり航行していると言う。

これ、豪華客船ていうやつじゃないかな

――それだっ!

行方不明の人魚達はそこに居る


何処の国の領土にも属さない、

まぁ今回は海なので領海ですが


各国の法が通じない場所、

つまりは治外法権ですね

愛倫(アイリン)達と合流した慎之介、

早速状況を説明し、

人魚救出作戦の打ち合せをはじめる。

……
……
……

案の定、東京湾に停泊していた船は

参加者と思われる者達が

すべて乗り込むと移動を開始した。


航行ルート的に見ても

公海の巨大客船に向かっているのは間違いないだろう。

悪魔の入国を水際で阻止する、

という名目で上層部には進言しましたが

慎之介はあえて悪魔に重きを置いて

上層部に話をしていた。

人魚救出が目的では

上層部が重い腰をあげなることはないだろう、

動かないだろいと踏んでいたためだ。

悪魔となれば上層部も本気で対処せざるを得ない、

それぐらいに悪魔のことを本気で恐れている。

日本の領海外にある船に

迂闊に手を出すことは出来ないとのことでしたが……

それでも領海外に武力を出せる訳はなかったが。

ただ、勝手に暴れる分には多少は目をつぶるし


何かあったら揉み消してくれるとのことでした

結局こちらで何とかしろ、ということで

申し訳ないのですが……

まるっと丸投げではあるが、

それでも引き出せる精一杯ではあるだろう。

そこに行けば、

あたしも治外法権なんだろ?

口角を吊り上げて悪魔的な微笑を浮かべる愛倫(アイリン)

派手に暴れてやろうじゃないか

悪魔の奴等、

全員ぶっ飛ばしてやらなきゃ


腹の虫がおさまらないよ、あたしは

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