ネクロマンサー幼女の正体を探れ

文字数 1,371文字

――天使三人組の加勢はあったけどもだね……

各個撃破で潰していくしかない、

ジリ貧の状況には変わりがないね……

やはり今回の事件

首謀者を止めるしかないか

首謀者の見当はついている……


というか、間違い無く

あのネクロマンサーの子供なんだろうけど

どうにも得体の知れない子供だからね
あの子は、一体何者なんだい?
思案する愛倫(アイリン)のもとに

意外な人物を連れて現れる慎之介。

愛倫(アイリン)さん、

ここでしたか

なにやら

不穏な空気を感じると思っていたが

まさか、

こんなことになっているとは……

ただならぬ気配を事前に察知していた死神は、

移民局にいる慎之介をちょうど訪ねていたところで、


今回の事件を知って、

急遽二人で渋谷へとやって来たのだった。

死神かい?

ちょうどよかった、

あんたには聞きたいことがあったんだよ

うむ

その前にあのゾンビどもを

なんとかしなくちゃならないんだけどね

あたしが、この事件の首謀者を

なんとかするまで

せめてゾンビどもの動きを

止めることが出来ればいいんだけどね

あれは、魂の無い屍人なのか?

そうだね、

死霊や亡者という訳でもない

術者がいなければ、

ただの動かない肉の塊


そういうタイプのゾンビだね

ならば、方法がないこともない

すべはある

本当かい?
ただ、そう長い時間は無理だ
せいぜい、

今晩一晩限りというところか

それだけあれば

充分ってもんさね

今夜こそ決着をつける
で、どうする気なんだい?
死神というと、

魂を冥府へと導くだけの存在、

そう思われがちだが……

魂の管理者だからな……
魂を使役することも出来る
ただまぁ、

こんな時代ではあるし


強制は出来ないからな

あくまで、魂に

協力をお願いするという形式だが

死神のアイデアを聞く、愛倫(アイリン)と慎之介。
あんた、随分

とんでもないことを言い出すね

本来のハロウィンの在り方……

というか、

日本でいうならお盆ですね
そんなことが出来るなんて、

あんた、やっぱり神様なんだね


……
死神が作戦を決行する前に


愛倫(アイリン)は、ネクロマンサー幼女の正体を探るべく

千里眼の能力を使って、彼女の姿を死神に見せた。

あんた、どう思う?
あたしには、この子の魂は

一つにしか見えないんだけど

あんたには、

この子の魂はどう見える?

うむ……

微妙に魂の濃さが違っているところから見て

二つの魂が融合して

一つになっているのかもしれん

融合というよりは、

大きな魂に、小さい魂が内包されて


取り込まれているような、

囚われているような

小さい魂の方が、この子本来の

もともとの魂なのであろう

なるほどね
それで二重人格のような挙動の説明はつくね

ちょうどそこに、愛倫(アイリン)からの依頼を受けて

ネクロマンサー幼女の素性を調べていた

情報屋のシャドウが現れる。

あねさん、

お待たせしました

あの娘の素性が分かりましたよ
シャドウかい
あんた、もともと影だから


こんな夜だとどこにいるのか

まったく分からないね

まぁ、ちょうどよかったよ
まだ異世界に残っている連中に、

連絡して聞いてみたんですが

容姿なんかからして

あの女の子は


数週間前に亡くなったばかりの

ズウォーカー家当主の

孫娘なんじゃあないかということでして

ズウォーカー家?
あぁ、それこそあたしが生まれる前


千年以上も前から存在する

死霊術師の名家でね

初代当主の名は、

ロマンジィン・ズウォーカー……

なるほどね、

そういうことかい

これで分かったよ


あのネクロマンサーの本当の正体が

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