必要としなくなった少年
文字数 1,135文字
コワくもないし、
むしろ結構いい奴だったりするし
のんびり、ほのぼのしてる感じだし……
人間が思う善悪の判断基準も
価値観も持ち合わせていないから
まぁ、でも、
そういう固定概念をぶっ壊して行くのが
そもそもカオス属性の悪魔なんだよね
人間が悪魔をコワイ存在として、
イメージを固定させたから
僕のような、悪魔としては型破りな
悪魔が生まれたって訳で
既成概念に囚われない自由な存在が
悪魔であるってことなのさ……
サプライズも毎回やってれば
ただの予定調和でしかなくなるから
王道が逆にサプライズになる、
まぁ、そんな感じかな
しばらくの間は、
ほとんど毎日のように
顔を合わせる日が続いた
まぁ、僕としては
また突発的に少年が
空を飛ぼうとしたりしないか
気が気じゃなかったけどね
でも、最近では、少年と会う回数も
めっきり減って来ている
少年が絶望するサイクルが、間隔が、
次第に長くなっている
あいつら、もう
俺をいじめることに飽きはじめてんだよ
久しぶりに会って
僕が食事を終えた時、
少年はそう言っていた
あの時は、発作的に、衝動的に、
空を飛んでしまったんだろうけど
この少年は本来、
過酷な困難を乗り越えて
前に進んでいけるだけの力を持っている人間だ
俺さぁ、高校に入って
はじめて友達が出来たんだよ……
よかったなんて言い草、
それじゃあまるで人間みたいじゃあないか
まぁ、既成概念に囚われない悪魔だから
そういうことがあってもいいの、かな
それからはもう
少年の絶望の匂いを感じることは無かった
そして、少年が通う学校の上空を
たまたま通りがかった時に
僕は少年の姿を発見したんだ
今の君が、
そんな笑顔をしているのなら、
もう僕とは会わずにいられるだろう
そうか、もう君は
僕に会う必要が無くなったんだね……
でも、これから先の長い君の人生
もし君がまた絶望した時には、
会いに来るよ
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