対アンデッドのエキスパート

文字数 1,253文字

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やっぱり……
サキュバスのヤルヤンが予想していた通り、

タフなゾンビ達を完全に機能停止にさせるのは

なかなか容易なことではなかった。

これではキリがない
そして幼女の姿をしたネクロマンサーが

異世界から召喚するゾンビは、

その数をどんどん増やしている。

ふふふ
――
――
このままじゃあ……
ちょっとピンチね


月明かりに照らされて浮かぶ蝙蝠の群れ。
よく、時間稼ぎしてくれたね
夜空の闇の中から姿を現す愛倫(アイリン)とサキュバスの娘達。

そして、彼女達はみな誰かを抱えている。

間に合ってよかったよ
ちゃお
これは、おいしいシチュエーションじゃないですか
ほほう、サキュバスの仲間か
うーん……

で、誰が敵で、誰が味方なんだい?

ゾ、ゾンビが敵ですよ、

あねさん

他の悪霊さん達は味方ですから!
そうなのかい?
悪霊が味方だなんて、また随分と

ややこしいことになってるじゃあないかい

まぁ、でも

サキュバスも大差はないかね

あ、あのう……
あぁ、ごめんごめん

あんた達のこと、忘れてたよ

アンデット相手じゃ、

さすがに面倒だからね

強力な助っ人を連れて来たんだよ
アンデット退治の専門家さね
げっ!

プリースト!

愛倫(アイリン)達が連れて来たのは、

こちらの世界に移民して来ているプリースト達。


普段は病院勤めをしており、

ヒーリングで患者の治療にあたっているのだが、

今日は夜勤だったところを無理して来てもらった。


アンデッドの存在が当たり前である

あちらの世界の神職と言えば、

当然のように対アンデッド用の術もマスターしている。

まさに対アンデッドの専門家のようなものだ。

これはまた随分と酷いですね、

屍人と悪霊ばかりじゃないですか

お掃除、やっちゃいますよ


蝙蝠の羽根を硬質の刃に変えて、

ゾンビを広範囲に次々と切り裂いて行く。


いくらゾンビに再生能力があろうとも、

瞬間的に再生出来るものではないので、

ゾンビの群れはその間完全に動きが止まる。

魂を忘れし、哀れなる肉体よ
この世界にあってはならない

不浄の者達よ

本来還るべき場所、

彼の地の土となりて、

己が役割を果たしなさい


神が創りし世界の理に従いて

ターンアンデットッ!
悪霊のみなさん、

避けてくださいっ!

え!?
う、うわぁっ
ぐはぁっ
味方にも若干のダメージを与えつつも、

プリースト達は動きの止まっているゾンビ達を

次々と一掃して行く。

す、すいません……

つい、いつもの癖で

今、あたし

昇天しかけましたよっ

悪霊見ると、

体が勝手に反応しちゃいますよね

職業病みたいなもんですよね


ぐぬぬぬ……

よくもおっ

あんた一体、何者なんだい?
見た目はそんな子供なのに
あっちの世界から

これだけの数のゾンビを

召喚出来るだなんて


どう考えてもおかしいじゃないか

誰が教えてやるもんか

ばーか、ばーか

中身もまぁまぁ子供かね……
わざわざワシの素性をバラすようなことを言うものか

クソッ、この腐れサキュバス

覚えてろよっ

幼女の姿をしたネクロマンサーは

そう言い残してマントを翻すと、

その場から姿を消した。

まいったね、

転移術で瞬間移動も出来るのかい

こいつはまた、

随分と厄介なのが


こっちにやって来たもんだね

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