ネクロマンサー幼女
文字数 1,266文字
それからしばらくしてのことだった。
フランケンのお嫁さんとなったおばあちゃんは
突然倒れて、病院に運ばれる。
おばあちゃんは、以前から
全身の筋力が著しく低下する病気に掛かっていた。
心臓の手術をしたのも、機械を埋め込み
強制的に心臓を動かし続けるための処置でもあった。
……せっかくフランちゃんの
お嫁さんにしてもらったったのに
……なんにもしてあげられなくて
やがておばあちゃんは、
声を出すことすら出来なくなり、
人工呼吸器を付けて辛うじて
生命活動を維持するだけの存在となった。
こちらの世界に来ているという
人造人間を探していたのじゃが
これはまた、随分と面白い場面に
出くわしたもんじゃな
他人の筋力を奪って誕生したお前の、
その花嫁が筋力の低下で死にそうだとは……
これまた随分と皮肉なもんじゃのう
この世界でいうところの、
因果応報というやつなのかのう
お前、まさか、
自分がどうやって生まれたのか、
忘れた訳ではあるまいな?
やはり、あれか?
その見た目が
筋肉ダルマなだけあって
お前は脳ミソも筋肉なのか?
脳筋なのか?
お前のその馬鹿力も、腕力も脚力も
そもそも、すべては
他人から奪って来たもの
そうじゃよ、
お前の時と同じことをするのじゃ
お前の嫁に
さすれば、
完璧にお前と同種族の
まさしくお前の花嫁に
相応しい存在となるじゃろう
お前の創造主である
ベクター・フランケンシュタイン、
紛れもなく稀代の天才ではあったが
ワシはそれを遥かに凌駕する大天才
魔法から錬金術に至るまで、
ありとあらゆるすべての術を修得せし
究極のネクロマンサー
それがワシじゃ
さっきからずっと言っておるだろう
お前が生まれた時と
同じことをするのだと
ワシが、お前の嫁の肉体として
適してそうな遺体を探すから、
お前はそれを運ぶのじゃ
さすがにこんな
非力な幼女の姿では、
ワシ一人で遺体も運べんからな
遺体安置所とか
霊安室とか呼ばれている
部屋があるじゃろ
……ほ、本当に
お、おばあちゃんを助けられるんだな?
ワシが、
ベクター・フランケンシュタインを
超える天才だと証明してやろう
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