トイレの花子さん
文字数 1,120文字
ひっひひひひ……
リーダーの少年は、
声がする方に懐中電灯の明かりを向けた。
暗闇の中に照らし出される人影。
それは、一年ぐらい前のことだった。
便意を催しトイレに駆け込む少年。
しかし、個室はみな埋まっており、
空いているのは一番奥にある部屋だけ。
そこはトイレの花子さんが現れると
子供たちの間で噂されている個室。
そんなことを口にして、
便意をそらそうとする少年だったが、
どうにもそれぐらいではおさまりそうにもない。
ドン!ドンドンドンッ!
他の個室のドアを叩いて回ったが、
反応は薄く、間に合いそうにない。
仕方なく、トイレの花子さんが現れると噂の
個室に入ることを覚悟する少年。
何も返事はない。
やはり返事はない。
我慢の限界に達した少年は、
個室のドアを開ける。
ガチャッ!
しかしトイレのドアを開けると
そこには花子さんが立っていた。
驚いた勢いで、肛門の括約筋がゆるんだ少年は、
その場で漏らしてしまう。
泣き喚いて文句を言う少年の剣幕に
今度は花子さんがびっくりしてしまう。
よく分からないが、仕方ないので、
漏らした後始末を一緒にしてあげる花子さん。
その件以来、この小学校の子供達と
トイレの花子さんは仲良くなっていった。
花子さんがそう言った時、
もうすでに子供達の姿はなかった。