復讐(リベンジ)ライダー
文字数 1,295文字
馴染みのバイク屋に行って
見てもらったが
原因は分からないと言われた
他のバイク屋に行ったら、そこでは
異音なんか聞こえないと言われた
それともこのバイクが
俺のことを止めようとでもしているのか
今はただ、残された時間
アディショナルタイムを過ごしているにすぎない
二人は小さい頃から
いつもずっと一緒で
双子特有の不思議な
阿吽の呼吸、感覚の共有みたいなこともよくあった
俺にはなんとなく
ハンナの考えていることが分かったし
ハンナにも俺の思っていることは伝えわっていた
そういう意味では
まさしく俺の半身のようなものだった
あの生きている価値もないような
ド畜生ども、ゴミ以下の屑野郎どもに
命を奪われた
四人組の男たちに拉致されて……
性犯罪者達の慰み者にされて
嬲り殺されたんだ
あいつの恐怖、痛み、苦しみ、絶望、
俺はその片鱗を感じ取った
生きたまま味あわされる地獄、
まさにそんな感覚だった
一部の感覚を共有しただけの俺でさえ
そんな有様なんだから……
当の本人は、どれだけ
痛い、怖い、苦しい、辛い思いをしたんだろうか?
バイク屋のおやっさんがまだ話しているのに、
その男はバイクに跨り、エンジンをふかす。
狭いトンネル内を、
わざとバイクの前に塞がるように立っている女。
このまま轢いちまいたいような
最悪な気分だが
それじゃあ、やってることが
奴らと変わらない
助けを求める、悲痛な女の声が
聞こえたと思ったんだけどね
まさかこんな妙なことになってるなんて
思ってもみなかったよ
あたしはね、
サキュバスの愛倫って言うんだ
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