サキュバスは、泥酔女子を介抱する
文字数 1,834文字
もう既に終電も無くなった時間に
酒に呑まれて、駅前の路上で泥酔して寝ている女。
こんなにも正体を無くすほどであれば、
もはや昏睡という方が近いのかもしれない。
駅前を通りがかった、
同じく酔っ払いの中年男性が声を掛けてみるが、
泥酔して寝ている女はまったく反応が無い。
いくら呼んでみても反応は無い。
中年男性もはじめは
親切のつもりで声を掛けたのかもしれないが、
酒で酔った勢いも手伝って、
あまりに無防備過ぎる美女を目の前にして、
邪な考えが脳裏を過ぎる。
間違いなく犯罪なのだが、
きっと酒で理性が緩んでしまっているのだろう。
よからぬことを企んでいる時に
突然後ろから声を掛けられて、体をビクッと反応させ
素っ頓狂な声を上げてしまう中年男性。
酒を飲んで緩んだ理性では、
サキュバスの魅了に勝てる筈もない。
危ない目にあわせようとしていた中年男性が、
心配するというのもよく分からない話だが。
この男性の中では、強引なお持ち帰りは、
犯罪扱いではないのだろう。
あやうく酔った中年男性に
お持ち帰りされるところだった女性。
そんなこととはつゆ知らず、
路上でひたすらに寝続けている。
次にやって来た男は、
小声でなにやら独り言を呟いている。
そんなことを呟きながら、
路上で寝続けている女の手が握っているバックの中にその男は手を突っ込んだ。
この場合、置き引きなのか、
ひったくりなのか、スリなのかややこしいが、
いずれにせよ、泥棒であることには間違いない。
男は喚き散らしながら、
慌てふためいて、逃げ出して行く。
その場にやって来たのは、
仲間から連絡を受けたサキュバスの黒ギャル娘、
ヤルヤンとレヘアン。
彼女達は気のいい娘なのだが、
やはりちょっと残念なところがある。
女性のバックの中に、
何か手掛かりがないか探すヤルヤンとレヘアン。
やましいことではないつもりでも、
やはり素っ頓狂な声を上げてしまう二人。
説明の仕方も、絶望的に下手くそ過ぎる。