肝試しをしたがる子供達
文字数 1,251文字
とある小学校の休み時間。
クラスのリーダー的存在でもある少年が
突然そんなことを言い出した。
夜中にこっそりと家を抜け出して、
電気が消えた小学校の校門前に集合する子供達。
子供達は、各自が思い思いに持参した
懐中電灯やら、スマホのライトやらの明かりを手に
真っ暗な校内を徘徊する。
暗闇の中に響き渡る、
子供達のものとは確実に異なる足音。
コツ、コツ、コツ、コツ……
リーダーの少年は、
足音がする方に懐中電灯の明かりを向けた。
暗闇の中に照らし出される人影。
彼はこの小学校で
用務員として働いているスケルトン。
学校の子供達からは
スケルトンさんと呼ばれ親しまれている。
施設、設備のメンテナンス、
改修などが彼の主な仕事ではあったが、
生まれつきの夜行性でもあるため、
この小学校で宿直当番もしている。
なにやら目配せしている子供たち。
子供の一人が、後ろから
スケルトンに向かってタックルすると、
予期せぬ不意の衝撃に
体の骨がバラバラに崩れ落ちる。
スケルトンは体が骨しかないだけあって、
衝撃に大変弱く、
この小学校のやんちゃな子供達は、
たまにそういう悪いいたずらを仕掛けたりもしていた。
スケルトンの体は、通常勝手に元に戻るのだが、
その前にリーダーの少年は
落ちたスケルトンの右脚の骨を奪って、
その場から逃げ出した。
右脚の骨を奪われたスケルトンは
再生されても脚が無いため、立つことが出来ない。
今時の子にしては珍しいぐらいに
随分とやんちゃな子供達だ。
子供たちはみんなで
一目散に走って逃げて行く。
リーダーの少年はスケルトンの脚の骨を
少し離れた廊下の床に置いた。
スケルトンが脚の骨を探している間、
時間稼ぎになるだろう。
宿直をしていた用務員のスケルトン、
彼の忠告を無視して、先へと進む子供たち。
この先には一体何があるというのか。