命賭けの守秘義務
文字数 1,968文字
シャドウの気配を見つけ、
追い詰めることに成功した
表情が乏しく、そうは見えないが
困り果てているシャドウ。
シャドウは天を仰ぐが
別に神を信仰している訳ではない、
どちらかと言えば闇の眷属だ。
懇願しているシャドウ、
そこに割って入って来たのは
慎之介は手にしていた携帯を
シャドウが横たわっている地面に置く。
電話で話しているシャドウを見て
厚みのないボディでよく携帯が使えるものだと
妙な感心をする慎之介。
まだ事態を把握出来ていない愛倫 。
以前と同じで、その名前が出る前に
相手が何を言おうとしているのか
直感で分かってしまう。
込み上げて来る怒りと、もう既に
悪魔がこれ程までに暗躍しているという焦りと不安、
いろんな感情が溢れて、複雑な胸中の
以前病院でプリーストが見たという悪魔の目撃情報、
それを上長に報告した慎之介。
政府は悪魔の日本国内侵入の事態を重く見て、
対策組織を結成し、調査に乗り出していた。
こちらの人間では
悪魔の足取りを追うことが困難なため、
異世界の情報収集のプロ達に依頼をしていたが、
その内の一人がここに居るシャドウということになる。
現時点で、悪魔が人魚達を
ただあるのは状況の積み重ねだけ。
だが
悪魔の仕業であると確信していた。
慎之介の頭には浮かぶ、
日本で人魚にまつわる残酷な伝説……
しかしそれを
とても出来るものではなかった。
だが
拳を強く握り締めて