チャイルド・ゾンビの実験台
文字数 1,514文字
チャイルド・ゾンビ
いつものように夜のパトロールをしていた際に
小学校の屋上に異変を感じたサキュバスのヤルヤン。
すでにサキュバスの仲間に連絡はしているが、
もはや、破れかぶれで突っ込むしかないと
ヤケクソになっていたヤルヤンだったが、
そこに思いがけない援軍が現れる。
人間の信仰無しには神が存在出来ないのと同様に、
人間が居なければ、悪魔やサキュバスもまた
存在することは出来ない。
悪魔は人間の負の感情を喰らい、
サキュバスは人間男性の精気を餌としているのだから、
その影響はもろに受ける。
そしてまた子供達の伝承の中に生きる者達は、
子供達が居てこそ、存在し続けることが出来る。
それが証拠に、
たまに子供に危害を加えることはあるのだろうが、
この世界の子供達をみな殺しにするとか、
そんな大それたことを言い出した者は
未だかって誰もいない。
ゾンビは動きが遅く、強さもそれほどではない。
この世界の異形の者達でも、
充分に相対することは出来たが、
ゾンビの群れは、倒しても倒しても
何度も立ち上がって向かって来る。
いささか面倒な相手でもある。
戦闘中の彼らの口からは、
ついつい愚痴が漏れる。
口裂け女もついに
ネットをする時代になったか。
現代風日本式幽霊と西洋風異世界産ゾンビの
子供達を賭けた奇妙なバトル。
ただ、どちらの陣営も闇属性の集まりなので、
ただ単に悪霊とゾンビが暴れている
地獄のような光景に見えなくもない。