懐かしい人々、魂の帰還
文字数 1,556文字
その夜、この世界の人々のもとには、
遠い昔にどこかで会ったことがあるような、
そんな懐かしい人達が還って来ていた。
ただ、見た目がちょっとだけ
普通の人間とは違っていたが……。
見た目こそ、ゾンビの姿ではあったが、
そこにある魂が誰なのかは、何者なのかは、
この世界の人間達でも、なんとなく直感で理解出来た。
三年前に死んでるのに
なんでこんなとこで
ゾンビの格好してんの?
あぁ、ハロウィンって……
戻って来る先祖の霊を迎える祭りでしたっけ
いや、死んでるんだから、
元気というわけじゃあないだろ
みんなで一緒に
じいちゃんの好きな酒でも
飲みましょうよ
お前、クスリのやり過ぎで、
死んだんじゃなかったか?
おいおい、
クスリやり過ぎると、
そんなゾンビみたいになるのかよ
まさしく廃人だな、こりゃ
触らんほうがいい
もしかしたら
病気とか感染るかもしれんからのう
今年のハロウィンの夜だけ
ゾンビの肉体で
この世に戻ることが出来るらしくてな
一人残して来た
ばあさんのことが心配だったから
ワシも参加してみることにしたんだ
そうじゃぞ
この家の家系図にも乗っておるだろう
清継がワシじゃ
まぁ、ワシもあれだ
転生のチャンスは
何度もあったんじゃがなあ
この家のことが気になって
機会を逃し続けていたら、
守護霊みたいになってしもうた
今回もそなた達が息災か気になったので
家まで来てみたんじゃ
一体どういうことじゃ?
さっきからゾンビ達を
まったくコントロール出来ないではないか
これだけで大量のゾンビに
どこかから魂を憑依させる……
そんなことが出来る者が
この世界にはいるというのか?
この大天才であるワシですら出来ぬようなことが
出来る者がいるというのか!?
いや、すごいもんだよ
これはもう術なんて
そんなレベルじゃあないね
あれだけ大量に居た
魂の無いゾンビすべてに
あんたが管理している
魂達を憑依させちまうなんてさ
魂を浄化しながら、
次の転生を待っている者達だからな
これで、今夜一晩だけなら
すべてのゾンビの動きを止められる
じゃ、まぁ、
クソじじいに囚われた
幼女の魂を助けに行こうじゃないか
ちょっと待ってください……
それは一体どういうことなんですか?
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