土着の悪霊達は、時代の変化に悩む

文字数 1,106文字

翌日から、まるで何事もなかったかのように、

子供達の生活は日常を取り戻し、平穏な日々を送っている。

赤マントさん、

この間は助けてくれて、

ありがとうね

え、えっ?

い、いや……

ま、まぁ、あれは

助けた訳ではなく……

そ、そう、

縄張り争いのようなものだ

前からちょっと思ってたんだけどさぁ


赤マントさんて、マント赤いし

ヒーローぽいよね

な、なっ!?
ち、違うからな


わ、私は決してそんなヒーローなんかじゃないんだからな

なんか、照れてるんじゃあないの?
……う、うぬぬ
恐怖の対象でなければならない自分が

ヒーローのように言われるのは、

彼らからすれば屈辱的なことなのかもしれない。

口裂け女さんぁ、

すごい美人なんだから


あたし絶対

整形手術受けたほうがいいと思うんだぁ

は?
知ってる?


今、異世界からやって来た

プリーストさん達のヒーリングで


どんな傷でも綺麗に治るんだよ

え、え?
プリーストって……

この間のあいつ等よね……

やだ、やだっ!

絶対行かないからっ!

えー? なんでぇ?


傷治したら、

男子に超モテモテ間違いなしよぉ?

ぼ、僕は、口裂け女さんの

傷がいいと思うんだけどな

口裂け女のせいで、

特殊な性癖に目覚めてしまった少年もいるようだ。

あたし、病院で

怪我治してもらった時に

仲良くなったから


紹介してあげる

あたしも、付いて行ってあげる
あ、あたしも行くー
やだ! やだっ!

絶対行かないからっ!

あんなのに術かけられたら

あたし、消えちゃうからっ!


ちょ、ちょっと君たち!


私の骨を持って行くのはやめなさい!

後で返すからさぁ

みなさん、私の内臓を

理科室から持ち出すのは

やめてください

ちょっとお借りしますね
あぁ……
どうもぉ
お互い、悪ガキどもには

手を焼きますねえ

えぇ、まったく……
花子さん、

この間は助けてくれて

ありがとうな

だから、あなた、

う〇こしながら、お礼言うの

やめてもらえるかしら


そうだな……
この際、昔みたいに

ちょっと犠牲者を出して


自分達がコワいってことを

思い出してもらうしか

ないんじゃないか?

ダメよ、あんたもこの間

死にかけたばかりでしょ?

いや、もう

死んでるんだけど

あんな悪霊払いの専門家、

エキスパートみたいなのがいたんじゃ


そんな悪さなんかしたら、

即退治されちゃいますよね

そうですよ、

あくまでコワがらせるのが

我々の役目なんですから

あんまり過激なのは、ちょっと……
ちわーっす
なんか悪霊達の気配がするなぁと思ったら


やはり悪霊さん達でしたか

なにやってんすか?
いえ……
最近、子供達に

舐められ過ぎなんじゃないかと……

どうしたら、

子供達の恐怖の対象として

威厳を取り戻せるか……

みんなで会議をしていたところでして……
なにかいい方法ないですかね?
い、いやぁ……
こっちの悪霊さん達も

いろいろ大変っすね……

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色