第13話 地ビールは作れても♪
文字数 879文字
・・・・・・・・・
「ってこと、センパイ知ってた?」
「いや、知らないっす。初めて聞きました。これが本当だったらスゴイ事ですね!!」と、島根出身のセンパイも大びっくり!
「そうなの。これが本当だったら、石見にとって、いやいや島根にとっても、素晴らしい地域資源になると、思わない?」
「思います!」
「そうよねえ。だって『地ビールは作れても、地犬は作れない』もんね〜ふふふ」と、ビールをゴクゴク。ああ、おいしい♪
「ところで、その『石』というのは、いつ頃の犬なんですか?」と、冷静な某テレビ局Sディレクター。
はいはい、待ってました! とばかりに。
「え〜っと昭和の初め。というか、時は、明治維新に遡ります。そもそも日本が開国した事によって、外国の文明と一緒に、外国の犬たちも入ってきましたあ〜。そこで日本犬の雑種化がみるみるうちに進んでいきまして、また、交通網の発達により、日本犬同士の交配も進みまして〜〜『ア〜〜ッ!』と気がついた時、それが昭和の初めの頃なんだけど、なんと、その時には、純粋な日本犬は、山の中で猟師が飼っていた猟犬くらいしか、残っていなかったあぁ。そ〜こであ〜わてて日本犬を保存しよう! 山の中から探し出して、血統登録しよう〜! そうでなければ、純粋な日本犬は、このままでは、滅んでしまううぅ・・、という頃のお話でございます」と、段々と口調が講釈師のようになってくる。
「昭和の初めって、90年くらい前。最近なんですね」と、さすが計算の早い朝日石川記者。
「先祖と言っても、日本犬保存会が管理している血統書をさかのぼって、行き着く先の犬の事。もちろん、当時『山出し』された犬は、かなりいたようだけど、なぜ石が祖犬になれたかは謎なんだわ・・」
「なるほど・・」と、朝日石川記者。
「そうそう、謎といえば、『石』を『山出し』した『エンペーカー中村鶴吉』っていう人なんだけど・・・」
14話に続きます