第92話 立ち姿の石像は難しい・・
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「河部さん、どうしましょう。あの石号の写真のままの石像を作りたいけれど、石材店に四本足で立っているのは、石は重いから難しいと言われたんです」
そういえば、石像は、重心が下にあるものが多い。「座っているとか、伏せているとかでないと・・」ということらしい。
しかし、石といえば、あの横向きの写真のイメージが強いし、存在感がありかっこいいのだ が・・。
そこで私は、冷静にこうアドバイスした。
「形をとるか、素材をとるかですね。立ち姿にこだわって、銅像とか木造にする。または、素材にだわって石像の座り姿にするかですね。どっちがいいですか?」
「どっちも!」
小原館長はすかさず、あっけらかんにおっしゃった。この方は、私よりも何歳か年上でいらっしゃるが、私以上にいわゆる「天然」キャラ。明るく朗らかな方だ。
そのあっけらかんとした声を聞いた瞬間、この方が言うのなら、大丈夫だと、私は確信した。
そこで「わかりました。ネットで捜してみます」と、安請け合いをしたのだ。
実は、この話が出た頃から、検索魔の私は、立ち姿の石像を作ってくれるところはないかと、ひそかにネット上で探していたのである。しかし、なかなか見つけることができずにいたため勝手に諦めていたところである。
なので、無責任に引き受けたことをちょっと後悔したのだが・・。
次号に続きます。