第11話 スーパー石見ツウ
文字数 890文字
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18年前、当地にやってきた私は、その素晴らしさに感動しまくり、「ああ、日本にこんなステキな田舎があったんだあ〜♪ 日本中の人たちにネットを使って教えてあげたいなあ〜」と思った。
すると、ラッキーなことに、ある地元企業から、地域をPRするウェブマガジンを立ち上げるので、その編集長にと、お話をいただいた。渡りに船とばかりに、その申し出をお受けした。
そのおかげで、数年に渡り、石見の全市町村を駆け巡り、史跡や温泉、観光地はもとより、伝統芸能、伝統工芸から郷土料理、農産物や水産物、樹木、動植物に至るまで、細かく取材する機会を得た。
また、島根県が行なった地域資源をデータベース化するプロジェクトでは、石見の担当として地域の隅々までリサーチしている。
さらには、石見の自然や生活文化などを紹介する原稿を、新聞等でもたびたび発表してもきた。その他、石見での調査や取材活動は、数えあげればきりがない。
なので、そこでパソコンに向かってる石見出身のハチおじさんなんかよりも、100万倍は石見には詳しいのだ。
その私が知らないなんて…。
念のため、地元出身の物知りそうな人たち数人にすぐに確認したが、誰も知らなかった。
そりゃそうだわ。この「スーパー石見通」の私が知らなかったんだもの。
しかし、もしこれが事実だとしたら、この20年近く、よくもまあ、私の目をかいくぐってきたものだ。信じられん。
そして、これが本当ならば、ものすごい大発見である。
好奇心のカタマリであり「地域振興バカ」の私は、その日から夢中になって、インターネット上で、その真相を探ることとなった。
そして、調べれば調べるほど、「信州系柴犬の血統書の雄系統をさかのぼると、必ず石見の『石』にたどり着くこと」は、日本犬の世界では周知の事実であり、疑いようのない真実であると思わざるを得なくなってきた。
地域振興バカの血がふつふつと沸きたってくる。
そんな2月のある日、久しぶりに、我が家で飲み会が開かれた。
第12話に続きます。