第2話 NPOとPON
文字数 1,569文字
けれども、次の更新には、その日から4カ月かかってしまった。
■ブログ投稿日:2015年1月15日
■タイトル:新しい年を迎えました
昨年の前半は、私が代表を務めていたNPO法人を解散させるための、煩雑な手続きに追われました。そしてやっと、解散することができ、ホッと安堵した矢先、今度は我が家の愛犬PONが、突然死にました。
NPOとPON。
アルファベットの並び順が違うだけで、とても似ています。もちろん偶然です。
あれから、数カ月たちました。
初めは、ただただ悲しくて、悲しくて、バカみたいに泣き続けました。身体が大きなコップになって、そこに涙がいっぱいあふれていて、ちょっとでも急ぎ足をすると、こぼれてしまいそうでした。だから、静かに静かに歩いていました。
何を見ても、ポン。何をしても、ポン。何もしなくても、ポン。
玄関から外に出たら「ああ、いない」。
外から帰ってきたら「やっぱり、いない」・・。
スーパーの肉売り場でスペアリブを見たら「この骨大好きだったなあ…」と涙。
ポンの好物は、もう買えません。
ポンとの散歩コースも、あれから一歩も足を踏み入れていません。
怖くて行けません。
友人とワイワイすることも好きだったのに、それも、おっくうになりました。
「たかが犬」かもしれないけれど、情けないくらい、別人の様に、ふさいだ人間になってしまいました。
けれども、「去るものは、日々に疎し」という言葉もあるから、時が解決してくれるだろうと、冷静に思う自分もいました。人間の世界でも、四十九日とか、区切りがあるから、時がたてば、少しずつ悲しみも薄まってくるだろうと。
だけど何カ月たっても、ずっと悲しみは続きます。このブログが、更新されていないので、心配をしてくださった方々からメールやお電話などもいただきました。
本当にありがたいのですが、更新どころか、ブログを見ることすらできませんでした。だって、トップページには、ポンの写真が・・。
いつまでもこんなことじゃいけないと思い、自分の中でこう決めました。
「とりあえず、2014年中は、悲しむばかりの情けない自分を許してあげよう。年が明けたら、心機一転しよう」と。
そして、年が明けました。けれども何も変わりません。ただ悲しいまま。
だから、「もうこのブログはやめよう」と思いました。とても、ポンのいない日々を綴ることができません。
そしてお正月、ある方にいただいた年賀状に、こんなメッセージがありました。
「小生もいまだに『武蔵』と名付けた柴犬の影を引きずっています。この四年、柴犬カレンダーをかけて犬断ちです。ブログ続けてください」と、ありました。
人生で初めて、年賀状を見て号泣しました。
そして1月15日、松の内が明けるまでに、更新しようと決心しました。
今日が、その日です。
悲しみは消えないけれど、悲しみと対峙するのでなく、そのままを認めて、赦して、悲しさも友として歩き出さないと、と思いました。悲しみが大きいのは、それだけポンと過ごした日々が幸せだった証拠です。一枚の年賀状が、そう教えてくれました。ありがとうございます。
そして、この数カ月、このブログを見てくださり「ああ、まだ更新していないね」と、心配してくださった皆様本当にありがとうございます。
なんとか、皆様のおかげで、続けていくことができそうです。本当に、ありがとうございます。大丈夫です! 元気です。
そして、どうか、どうか、本年もよろしくお願いいたします。
2015年1月15日
かわべまゆみ
第3話に続きます