第105話 バリバリとした被毛
文字数 598文字
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神取さんが「河部さんから頂いたすべての資料を読み漁り・・」と言ってくださった資料の中に、中村鶴吉さんが書かれた「山陰犬 特に石州犬について」という一文がある。
これは、昭和11年に「犬の研究社 」が出版した「昭和日本犬の検討」に鶴吉さんが寄稿したものだ。
ここには、「石州犬の特徴」が、性質、外観、被毛など12項目に分けて、実に詳しく紹介されている。
それを読むと、現在の柴犬よりも、精悍で、逞しく、ワイルドなイメージが伝わってくる。特に、被毛が「剛毛で直立」しているとある。
これは、石州犬の大きな特徴の一つだろう。私が作詞した「石州犬ISHI」では、「雨に打たれてもブルブルしたら、弾け飛んでいくバリバリとした被毛♪」と表現したのだが、最近の柴犬の被毛は、かなり柔らかくなってきているのではないだろうか。(我が家の山陰柴犬サニーは、触るとフワフワで、気持ち良いほど、なめらかで柔らかい・・)
後に、完成した石像は、実にこの被毛のバリバリ感が再現されていて、神取さんのご苦労が伺える。
また、この資料には、当時「島根県石見地方に、なぜこの様な優れた日本犬が残存していたか」という中村鶴吉さんの考察が記されているのだが、とても興味深い内容なのだ。
それは、次のようなものだ。