第46話 謎が解けた!
文字数 833文字
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ところで、中村鶴吉さんの枕詞である「エンペーカー」についてだが、犬舎名であることは、わかってきたが、相変わらずその意味がわからない。何語なのかと、いろいろ調べたが皆目見当がつかない。
そのうちに「エン・ペー・カー」と、文字の間に「・」が入る資料も目にするようになり、これはもしかして頭文字かな? と思ったが、アルファベットにしては、ちょっと変。
そこで気がついた。
「そうだ! この人は歯医者さんだ。医師はドイツ語だ」と。
そして調べたところ「エン・ペー・カー」→「N・P・K」までわかったのだ。
ただ「Nなんちゃら・Pなんちゃら・Kなんちゃら」の、なんちゃらがわからない。
そこで推測したのが、「Nakamura・Puppy・Kennel」つまり「中村・パピー(子犬)・ケンネル(犬舎)」だ。
ピッタリだ! たぶんそう。きっとそう。これしかない。と思っていたのだが・・・。
しかし、岡田さんの「往古日本犬写真集」の中では、「帝国軍用犬協会」の犬舎名でもあるとのことだった。だから和風の犬舎名でなくドイツ語なのだ。
ということは、今風の「中村・パピー・ケンネル」は、ないなぁ・・。
と、思っていたところ、中村鶴吉さん自身が、「エンペーカー」について語っている資料を見つけることができたのだ。
なんと「N・P・K」は「Nippon・Police dog・Kenkyusyo(日本・警察犬・研究所)」なのだそうだ。
これは、帝国軍用犬協会に登録済みの犬舎名で、そのまま日本犬にも使用したとのこと。
鶴吉さんは、その中でエンペーカーについてこう語っている。
「日本犬には、何だか西洋くさく嫌でもありますが、今では、石州犬の代表語にもなってしまいました」と。
かくして、やっと「エンペーカー」の謎が解けたのであった・・。
次号に続きます。