第40話 「日本犬保存会」へ
文字数 1,479文字
と、ウキウキランラン。
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そして翌日は、神田駿河台にある「公益社団法人日本犬保存会」を訪ねた。
私も一応、山陰柴犬サニーを飼ったこともあり、日本犬保存会の会員にはなっていた。
が、何しろ新米のペーペーである。
そこで、島根支部長の柳尾敦男さんにお口添えをいただき、卯木専務理事さんと、井上事務局長さんという偉いおふた方に、お会いすることができた。
この日は、私と夫ハチの2人で、緊張しつつ訪問したのだが、 私たちのような新米会員にも、親切にご対応してくださった。
そして、ありがたいことに、なんと「石号の血統書」を拝見させていただき、そのコピーをいただくことができたのだ。
その「石号の血統書」には、下山信市さんの名前と住所がはっきりと記されていた!
これで、あの島根県益田市の下山さんのお宅にいた犬が「柴犬の祖・石号」であることが、正真正銘の事実であることを確認できたのだ。
【石号の血統書】「(公社)日本犬保存会提供」
そして、そして、さらに驚きのできごとが!!
ちょうど中村鶴吉さんのことが話題になっている時に、たまたまそこに来られた審査部長さんが、ボソッと、こうおっしゃった。
「あ〜あの人はなかなかオシャレな人だからね~。洒落た帽子かぶってねぇ・・」
「え~~~~~~っっっ!!! 見たことあるんですかアアア!!???」と、思わず絶叫。
すると、ああその本ならと、専務理事さんが奥から写真集を探してきて見せてくださった。
これが、これが、これが!
夢にまで見た中村鶴吉さんのお姿。予想だにしていない大展開である。
そしてそのお姿は、クールな感じのソフト帽で、私のイメージ通りの人だった。
できれば、その写真をご紹介したいところだが、著作権等の関係で、お見せできない。
ちなみにその本は「往古日本犬写真集」。著者は「岡田睦夫」さんという方だ。
すでに絶版となっていて、書店では買えない。
しかし、貴重な情報をいただいた。超ラッキー!やっぱ、東京来るもんだわ。この写真集は、何としてでも手に入れよう。
また、この日は、日本犬保存会の血統書等を保管する書庫を見せていただくこともできた。ここには、日本犬の保存活動が開始された昭和3年(1928年)からの血統記録が保管され、柴犬を初め、すべての日本犬の犬籍簿が所蔵されているという。
戦争中には、戦火で人々の戸籍が消失したという話をよく聞くが、犬の戸籍や当時の資料は、なんと東北地方に疎開されて、大事に守られたそうだ。すごいことだと思う。
当時の愛犬家の皆さんの日本犬に対する深い愛情と真摯な想いが伝わってくる。そういった方々がおられたからこそ、今、世界に誇る天然記念物「日本犬」があるのだ。
(公社)日本犬保存会には、その後も、何度かお伺いして、当時の資料を拝見させていただくことができた。ここは、日本犬好きにはたまらない「宝の山」であり、我が国にとって「超貴重な文化的財産」だと思う。
これだけのものが、今日まで守られてきたのは、奇跡といってもいいだろう。日本犬を知ってまだ間もない私のようなものでさえ、そのありがたさ、価値はよくわかる。
また、事務局長の井上実さんには、この後も数々のご教授をいただき、おかげさまで、石州犬や石号の調査や広報活動が、大いに進むこととなった。
さて、翌日は、大島2丁目に住んでいた「中村さん」についてご存知と思われる不動産屋さんへ、ワクワクしながら伺った。
次号へ続きます。