第100話 初代「忠犬ハチ公」の台座を・・
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「来られた方々が、2つの石像を見ると『強運』になれそうな、ハッピーになれるような、ストーリーができないかと思っています。これまで、たくさんの石像を作られた中で、何か良いアイデアがありましたら、教えてください」
すると、神取さんはこうおっしゃった。
「私が今まで制作してきた石彫刻の中で、1度だけ細工をした作品があります。『これなら!!』という作品が出来た時に、彫刻の犬の毛並みの流れの中に神取の『神』という文字をいれました」
わあ! なんてステキなお話なんだろう!
「それならば、今回は『強運の石号』ということですので、毛並みの流れの中に、その名前を入れて、それを見つけた人は、『強運』にあやかれると言うストーリーはどうでしょう・・。というか、本当にあやかれるはずです」
「はい! そう思います!!」私は、自信を持ってそう答えた。石号や子孫、そして石号に関わる人々に起きた「強運のエピソード」は、数えきれない。もちろん私自身、どれだけその恩恵を受けてここに至ったことか。
そして、神取さんは、こう続けられた。
「実は、私の父親は『初代の忠犬ハチ公の台座』を作った石工です。ですから、初めてこのお話を伺った時に、『強いご縁』を感じました。」
「え・・」私は、驚きのあまりに言葉を失した。
「私にとっては、非常に難しい宿題ですが・・。『父のハチ公の台座制作』と『私の石号の石像制作』が結びついたように、本当に『強いご縁』と『強運』が、訪れるよう、石工人生のすべてを打ち込んで制作したいと思います」
力強く神取さんはおっしゃってくださった。
信じられないことに「東のハチ公」と「西の石号」は、すでに繋がっていたのだ・・。
なんという、強くて不思議なご縁なんだろう。
この石像を、神取さんにお願いすることは、初めから決まっていたような気がする。
そして、将来必ずや、「東のハチ公、西の石号」と、そう呼ばれるようになるはず。
次号に続きます。