第83話 3枚の貴重な写真!
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私は、あわててお断りした。
この3枚の写真の裏には、青い万年筆で犬の名が書かれている。ずいぶんと古いものだ。
「複写ありますから、大丈夫です」と、坂口さん。ならば、その複写の方を、と申し上げたが、結局何枚もの写真をいただいてしまった。
会いたい人がいれば徹底的に捜し、見つかれば、すぐに電話をかけ、長い手紙を出してどこへでも訪ねて行く(しかも夫を、時にサニーを連れて)
こんな図々しいオバさんの私でも、さすがにこの写真は、いただけないと思った。
【石の子「アカ号」】
【石の孫「紅子号」】
【石のひ孫「中号」】
私が、著名な研究者であったり、大学のえらい教授先生であるのならまだしも。なぜ、信じてくれるのだろう。なぜ、こんな貴重なものをくれるのだろう?
もしかして、私たちはただの悪いヤツで「お宝写真ゲット〜〜」とか言って、ヤフオクとかに出すかもしれないのに。
一度お電話しただけで、今日初めてお会いしただけなのに。免許証すらお見せしてないのに・・・。
そこで私は「今日教えていただいたことや、坂口仁さんや赤石荘さんのことなど、いろいろな形で発表してもいいですか? このお写真もいろんな方にご覧いただいてもいいですか?」と伺った。
「いいですよ」と、笑って答えてくださった。
勝手かもしれないが、私は坂口さんに託されたような気がした。
そう思わなければ、こんな貴重な写真をいただくことはできなかった。
次号に続きます。