第48話 「柴犬のルーツ 益田にあり」
文字数 1,096文字
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さて、いよいよ島根県立大学の豊田ゼミでの「フレッシュマン・フィールド・セミナー」の授業が始まった。
初めに学内で数回、天然記念物の日本犬、その中の小型犬「柴犬」、その中の「信州柴犬」と「山陰柴犬」等の概論から始めた。
【講義資料の一部】
その後は、その名の通り「フィールド」に飛び出して、日本犬保存会島根支部長の柳尾敦男さんの犬舎や「柴犬の聖地・石号の里」と、勝手に私が呼んでいる下山博之さんのお宅へとご案内した。
大学生の皆さんは、私からすれば、孫のような年代である。こんなおばあさんの話ではあるが、みなさん熱心に興味深く聞いてくださった。
また、豊田知世先生は、大変お若く、とても気さくな方で、私のような素人の提案にも応えてくださり、とてもありがたかった。
そして、「石州犬・石号」についても地域資源として、特に観光活用の可能性があると、専門的な見地からも評価をしてくださった。
学生たちは、いくつかのグループに分かれて、益田市内でのアンケート調査や、ポスターの制作、写真展や動画作りなど様々に取り組んでくれた。
当初の想像以上に、みなさん積極的に、大活躍してくださり、そのおかげで、地元での石州犬のPRに大いにつながった。本当にありがたいことだ。
【「石号の家」で柴犬と触れ合う島根県立大学生】
【島根県立大学生が制作したポスター】
このフィールド活動には新聞社2紙が同行取材してくれた。
当初は、島根県立大学の授業ということで来られたのだが、石号の写真を学生に見せながら「この家に80年前にいた、この犬こそが全国、いえ全世界にいる約60万頭の柴犬の祖なんですよ」との説明に驚かれたようだった。
石号の存在は、地元のマスコミの人ですら知らなかったのである。
取材後に、2人の記者の方から、石号の写真を使わせてもらえないかと申し出があった。これは、いただいたもので、私が勝手にはできないと躊躇したのだが、その場で岡田さんに電話をして事情を説明したところ、「それは、あなたにあげたものだから」と、使用の許可をいただいた。
記者のおひとり、山陰中央新報社の鎌田剛さんは、前から存じ上げている方だったが「河部さん、これはすごいことですよ」と、おっしゃてくださった。
そして数日後、鎌田さんが書かれた「柴犬のルーツ 益田にあり」という大きな記事により、石号の存在とその姿が、石の故郷である島根の人々の目に、初めて触れることとなったのである!
【山陰中央新報「石号の紹介記事」】
次号に続きます。