第18話 ハンパない犬「中」
文字数 933文字
もうとにかく、ハンパないのだ・・。
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石号のひ孫にあたる「中号」は、生後5ヵ月のころ、長野県小布施の樋田さんご夫妻に育てられることとなった。
そこで中号は、ジステンパーという、そのころ流行していた恐ろしい感染症にかかっている。生死の境をさまよう中号を、樋田さんご夫妻は、3ヵ月もの間、不眠不休で看病したという。
そうして、ご夫妻の並々ならぬ愛情によって、中号は奇跡的にも一命をとりとめた。
その後、生後11ヵ月の時には、中号は日本犬保存会の「東京支部展覧会」に出場。そこで、なんと大型犬、中型犬を抑えて、最優秀の「全犬総合一席」を獲得した。
小型犬で、しかも生後11ヵ月で、しかもしか〜も「病みあがり」での快挙だ!!
さらにその翌月、1歳になったばかりの中号は、「本部展覧会」にも出場。全国から集まった150頭を超える名犬たちを制して、堂々と「全犬総合一席・総理大臣賞」を受賞した。
ここで中号は、全国最高位となってしまったため、展覧会への出場は、この2回でおしまいに・・。その後は、別格扱いで「参考犬」として、全国の本部展を行脚したのだとか。
なんちゅうスーパーエリート犬であることか!
そして1歳を過ぎたある日、魚屋さんだった樋田さんのお宅に、大型の雑種犬が侵入。中号は、家と魚を守るべく、自分よりも何倍も大きな雑種犬の前に立ちはだかり、大格闘となった。
そして、くんずほぐれつの闘いの末、大型犬を血みどろにさせて追い返したという。この時、中号もまた、全治1ヵ月の重症を負った。
小型犬の1歳は、まだまだ幼い。それが、大型犬と闘い、主人の家を守り抜いたのだ。
なんちゅうアッパレな犬であることか!!
と、以上のことが、生後1年あまりの間に、立て続けに起きているのだ。
その間「大病」3ヵ月、「大怪我」1ヵ月と、4ヵ月間は、瀕死の状態にあった。
でありながらも、その「大病」と「大怪我」のわずかな隙に「全国最高位の日本犬」となったのだ・・。
なんちゅうジェットコースター的展開であることか!!!
しかし、中号のスゴさはこれだけで終わらないのである・・。
次号に続きます♪