第101話 石号の息吹が・・
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そして、将来必ずや、「東のハチ公、西の石号」と、そう呼ばれるようになるはず。
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数日後、神取さんから、メールと共に制作過程の写真を送っていただいた。
「心身共に制作する気持ちが集中し、今月に入り原石から制作を始め、昨日までに荒落としまでできました。これからが仕上げに入っていくのですが、ここから石号の特徴を出す大変な仕上げ工程になります。時間をかけて、忠実に再現していこうと思っております」
神取さんの一つひとつの言葉には、「石工人生のすべてを打ちこんで・・」とおっしゃった決意と覚悟が、あふれていた。
こちらが、送っていただいた「石号の石像」の貴重な制作工程である。
最初は、四角くて固いだけの岩石に、少しずつ石号の息吹が吹き込まれていくようだ・・・。
こうやって、できていくのだなあ・・。
なんかかっこいいなあ、感動的だなぁ・・。
そう思うと、実物の石像が見たくて、見たくてしょうがなくなった。
完成した石像ではなく、命が吹き込まれていくその過程をこの目で確かめたくなったのだ。
そして、その感動を、地元のみなさんにもお伝えしたい!と。
ところで、私はどこまで「強運」をもらっているのだろうか・・。
実は、この翌週には、たまたまプライベートで上京する予定が入っていた。
そこで、私はこうお返事した。
「なんか、かっこいいです。素晴らしいです!!石号が生きているようで、泣きそうになりました。実物を拝見して、その感動を多くの方々にお伝えしたいので、一度そちらに伺いたいのですが、よろしいでしょうか。偶然ですが、来週上京いたします。突然で申し訳ありませんが、神取さんのお仕事場にお伺いしてもよろしいでしょうか?」
すると、私たちが上京するその日だけが、偶然にも神取さんもご都合が良い日とのことで「ぜひ、お越しください」と、言っていただいた。
ということで一週間後、私と夫は、横浜市瀬谷区の神取さんの工房をお訪ねした。