第39話 やっぱ現地に来るもんやね〜♪
文字数 1,082文字
私たち3人は「ごめんくださ〜い」と暖簾をくぐった・・。
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お店の中には、常連客と思われる数名の人が楽しそうに酒を飲んでいた。
まずは、私たちも1杯。ビールを頼み、つまみは何にしようかとメニューを眺めていると、常連客の方が、「ここはなんでも美味しいよ。肉野菜炒めがオススメだよ!」と教えてくださった。
ありがたい、この気安さ。中村鶴吉さんのことを聞きやすい雰囲気だ。
石川記者とも、久しぶりだ。島根以来だが、まさか東京で一緒に、酒を飲み交わす日が来るとは! こんな嬉しいことはない。
しかも、石川記者のお宅は、ここ大島2丁目に近いとのこと。これまた何という偶然か。ということで、ありがたいことに、既に近辺の事前リサーチもしてくれていた。
互いに近況など話し合ったところで、そろそろいいかなと、チラシを見せながら「実は・・」と本題を店の大将に振ってみた。
大将もお客さんも「ほう、ほう」と、興味を持って聞いてくださった。東京とはいえ、下町は人情細やかだ。
しかしお話しだけだと、きっとすぐに忘れられるかもしれない。そこで、スマホで「お〜い中村鶴吉さん」の歌を皆さんに聞いてもらった。
「あ〜れは、昭和の〜初めの頃ね〜♪」
この歌は、ムード歌謡っぽい曲調なので、酒の場には馴染み、とても関心を持ってもらえた。
「中村鶴吉という名前、覚えてしまったよ。ハハ・・」と言ってもらった。なんでも歌にすると、覚えてもらいやすい。狙い通りである。
すると、大将が「そうだ、あの人なら知っているかも!」とおっしゃり、ご近所のある方の家まで、案内してくださった。
「この時間いるかなあ?・・」と言う大将の後を、私たち3人はドキドキしながら、ゾロゾロとついていったのだが・・。
なんとその方は、偶然にも庭先でお掃除をされていた。超ラッキー!!
私が、状況を説明すると「確かに、昔から中村さんという人が住んでおられたけれど、数年前に引っ越したのよ。引越し先は、きっとあそこの不動産屋さんなら知ってると思うわ!」とのこと。
この方に伺ったお話は、私が知っている中村鶴吉さんと重なることがとても多かった。
これは期待できる! 手応え有り! 良い感じだ!!
ただ、その日はすでに不動産屋さんが閉まっていて、日を改めて訪ねることとした。まさか、こんなトントン拍子にいくとは。
やっぱ現地に来るもんやね〜♪
と、ウキウキランラン。
(ちなみに、この写真は、現地に到着した時に、思わず「ニンマリ」した私の姿を、朝日石川記者が偶然にも撮影してたものである)
次号に続きます。