第96話 第二節 さらに二年後 第三節 百年後

文字数 1,014文字

第二節 さらに二年後

シーナのそばにはヤシマの姿があった。
二人は顔を見合わせては微笑んでいた。
 二人で山に登り白蛇様の祠に手を合わせた。
願うは人々の幸せ。

 そして二人はそれぞれに、横にいる者との幸せな未来も秘かに願った。
 シーナの厳しい修業をヤシマは秘かに支えてきた。修業に終わりはない。しかし、
「そろそろいいんじゃないか」ヤシマは空を見ながら言った。
シーナは頬を染め笑った。
二人の手には互いの手があった。

第三節 百年後

 伝説にはこう付け加えられた。

青虎 他を虐げし者の、心の邪悪 食らうものなり

           完




あとがき
 青虎が食らったものは王の「命」ではなく、人を人とも思わず民を虐げる王の邪悪の「心」それです。
 あいわ国には為政者としての王はいなくなります。
 王とは何でしょう。民を想い慈しみ、神と人とを繋ぐ王なら国は幸せに満ちていることでしょう。
 様々な時代の過ちを経て学んだはずのこの現代にあってもまだ差別は厳然と存在し、多くの人々が苦しんでいます。中でも戦争はその最たるものでしょう。
 二十一世紀にはあってはならないはずの戦争が起きて、人の命がおもちゃのように壊され失われ、多くの人の悲しみが日々生まれています。
 人の心の中にある他を軽んじ蔑み憎む心を青虎に根こそぎ食らってもらえたら、どれだけ平和になることか。とはいえそれは自分自身が成さねばならぬことです。
 「身の内に青虎飼う者」とは、自分の心の中の邪悪を自分で無くすことができる者であったと書き上げてから改めて気づきました。
 人は誰の語りかけに耳を傾けるのか。
 この物語の六人のような純粋で愛に満ちた人間たちが本気で何かを決意したとき、大きなものが動いていくのだと信じています。
 その語りには大きな愛がありそれゆえのパワーがあり、権力武力など戦いでなく美しい言霊で現実は創られ世界は正されると信じてやみません。
 誰しもが平和を願っています。祈りを捧げている人もたくさんいらっしゃることでしょう。いろいろな祈り方があることでしょう。もしかしたら、この話は私の祈りなのかもしれません。
 ありがたきご縁をいただき、この長い祈りをお読みくださり心より感謝申し上げます。
 拙い表現にずっとお付き合いくださり最後までお読みいただけましたことありがたく感謝でいっぱいです。
 本当にありがとうございまいた。
                                 

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