第77話 第三節 作戦 ー訪問ー
文字数 827文字
「のんびりとはしていられない。中浜宗家に行けないとなれば宮中はどうだ。俺たち忍び込めないかな」
ヤシマが言った。
他の四人が思わず「えっ?」と声を上げた。
「いくらなんでも宮中とは…宮中全ての武人に取り巻かれるだろう」ハンガンが言った。
「気付かれたら勝ち目はないなぁ」とテナンも言った。
「それは厳しいよ、ヤシマ」
チマナも言った。しかし
「それ案外いいかもしれない。中浜宗家ではシーナを絶対に奪われないように警戒している。宮中では周りへの気兼ねで手薄になるんじゃないかな。そこにシーナがいる。六人揃う。でも六人だけじゃない。白蛇様も青虎も現われて不思議はない」とアーサ。
「私達もともと十五年前に亡くなってた命。全ての赤子の命をもらってる。そこで尽きるなら仕方がない。十五年も生きさせてもらったものね」とチマナ。
「六人揃ってなら思い残すことはない」テナンが言った。
「そうはさせないけどな。大暴れしてやるよ」ヤシマはにやりと笑みを浮かべた。
「どうやって入るの? 宮中に」とチマナ。
長い沈黙を破って「そうなら一つ案がある」
ハンガンは静かに話し出した。
「御山宗家のご当主も、宮中に参内するはずだろ…」
「それだ! ハンガン! 御山宗家には、りり様の兄上もおられる。宗家に繋いでもらい、お供の中に紛れ込む」とヤシマが畳みかけた。
ハンガンは自ら言い出しておきながら考え込んだ。そして
「やってもらえるだろうか。下手をすれば、御山宗家は断絶、処罰を受ける。また窮地に陥れることになる。 いまは平穏な日々を送られているのに…それに当主は、りり様の兄上の話だと油断のならない狡猾な人物で自分の身が危うくなることはやらなさそうだ…」と言った。
「兄上達を巻き込みたくはないね…」とチマナ。
「だが、あれこれここで考えても先に進まない。少しでも可能性があるなら御山宗家を訪ねてみないか」アーサが言った。
御山宗家への道すがら、言葉を発する者はいなかった。
ヤシマが言った。
他の四人が思わず「えっ?」と声を上げた。
「いくらなんでも宮中とは…宮中全ての武人に取り巻かれるだろう」ハンガンが言った。
「気付かれたら勝ち目はないなぁ」とテナンも言った。
「それは厳しいよ、ヤシマ」
チマナも言った。しかし
「それ案外いいかもしれない。中浜宗家ではシーナを絶対に奪われないように警戒している。宮中では周りへの気兼ねで手薄になるんじゃないかな。そこにシーナがいる。六人揃う。でも六人だけじゃない。白蛇様も青虎も現われて不思議はない」とアーサ。
「私達もともと十五年前に亡くなってた命。全ての赤子の命をもらってる。そこで尽きるなら仕方がない。十五年も生きさせてもらったものね」とチマナ。
「六人揃ってなら思い残すことはない」テナンが言った。
「そうはさせないけどな。大暴れしてやるよ」ヤシマはにやりと笑みを浮かべた。
「どうやって入るの? 宮中に」とチマナ。
長い沈黙を破って「そうなら一つ案がある」
ハンガンは静かに話し出した。
「御山宗家のご当主も、宮中に参内するはずだろ…」
「それだ! ハンガン! 御山宗家には、りり様の兄上もおられる。宗家に繋いでもらい、お供の中に紛れ込む」とヤシマが畳みかけた。
ハンガンは自ら言い出しておきながら考え込んだ。そして
「やってもらえるだろうか。下手をすれば、御山宗家は断絶、処罰を受ける。また窮地に陥れることになる。 いまは平穏な日々を送られているのに…それに当主は、りり様の兄上の話だと油断のならない狡猾な人物で自分の身が危うくなることはやらなさそうだ…」と言った。
「兄上達を巻き込みたくはないね…」とチマナ。
「だが、あれこれここで考えても先に進まない。少しでも可能性があるなら御山宗家を訪ねてみないか」アーサが言った。
御山宗家への道すがら、言葉を発する者はいなかった。