第57話 第一節 なぜそこに ー戦いー
文字数 999文字
ヤシマは木から飛び降りると、林の木々を縫いながら走りに走った。
林を抜け山道に差し掛かった頃、武人たちの乗った馬の足音が近づいてくるのがわかった。
馬が立ち入れない獣道を選んで登っていったが、一心に罪人を追い詰め容赦ない精鋭隊に追いつかれ囲まれた。
持っていた短剣で振りかかってくる刃を避け相手を倒しながら、それでも腕や背中などを斬られていた。
やはり武人、これまで相手にしてきた盗賊とは違いヤシマは苦戦を強いられた。
追い込まれて広いところに出ると、追いついた騎馬隊に馬上から襲われた。
二人は倒したが、後続の武人達も追いついてヤシマを包囲した。
四方八方から突き出る剣に囲まれ「もうこれまでか…」とヤシマが覚悟したときだった。
「グググググッ」という唸り声とともに巨大な青い影が目に飛び込んできた。
青虎はヤシマを取り囲んでいる武人に次々と襲い掛かり、青虎自身も剣に切りつけられながら武人達を倒していった。
武人は次々斜面から転がり落ちていった。
何本もの矢が崖下から飛んできた。
青虎の背中や腹に数本刺さり、ヤシマは数本避けたが肩に矢を受けていた。
武人の一人が青虎の背後から槍を青虎の背中に突き立てようとしていた。
一瞬前にヤシマは木に足をかけ思い切り踏み切ると、そのまま飛んで武人に掴みかかった。
二人は転げながら格闘し、ついにヤシマは武人から槍を奪い取って捨て短剣を武人の胸に突き刺した。
ずいぶん下まで転げ落ちたが、そこでまた数人が同時にヤシマに向かってきた。
ヤシマは斜面に足をかけ踏み切ると尋常ならざる速さで数人の武人を蹴落とし、さらに他の武人の胸に短剣を刺した。
ヤシマは青虎が心配で這うようにして獣道をのぼっていった。
青虎も何人も振り落として気が付くと青虎、ヤシマそれぞれの周りに武人は一人もいなくなっていた。
傷つき疲れ果てながらもヤシマは青虎に駆け寄った。
怖れはなかった。
青虎は武人たちが倒れている中に毅然として立ちその黄色く光る眼はヤシマを見た。
ちょうどそのとき枝葉の隙間から満月が顔を出した。 満月は輝いていた。
その光に晒されると青虎はばさりとその場に倒れた。
みるみる大きな体躯は白く色を変え同時に小さくなっていった。
ヤシマはそのうつ伏せの白い者の正体を確かめた……
自分が思っていた通りの人物だとわかると、へなへなとその横に座り込んだ。
林を抜け山道に差し掛かった頃、武人たちの乗った馬の足音が近づいてくるのがわかった。
馬が立ち入れない獣道を選んで登っていったが、一心に罪人を追い詰め容赦ない精鋭隊に追いつかれ囲まれた。
持っていた短剣で振りかかってくる刃を避け相手を倒しながら、それでも腕や背中などを斬られていた。
やはり武人、これまで相手にしてきた盗賊とは違いヤシマは苦戦を強いられた。
追い込まれて広いところに出ると、追いついた騎馬隊に馬上から襲われた。
二人は倒したが、後続の武人達も追いついてヤシマを包囲した。
四方八方から突き出る剣に囲まれ「もうこれまでか…」とヤシマが覚悟したときだった。
「グググググッ」という唸り声とともに巨大な青い影が目に飛び込んできた。
青虎はヤシマを取り囲んでいる武人に次々と襲い掛かり、青虎自身も剣に切りつけられながら武人達を倒していった。
武人は次々斜面から転がり落ちていった。
何本もの矢が崖下から飛んできた。
青虎の背中や腹に数本刺さり、ヤシマは数本避けたが肩に矢を受けていた。
武人の一人が青虎の背後から槍を青虎の背中に突き立てようとしていた。
一瞬前にヤシマは木に足をかけ思い切り踏み切ると、そのまま飛んで武人に掴みかかった。
二人は転げながら格闘し、ついにヤシマは武人から槍を奪い取って捨て短剣を武人の胸に突き刺した。
ずいぶん下まで転げ落ちたが、そこでまた数人が同時にヤシマに向かってきた。
ヤシマは斜面に足をかけ踏み切ると尋常ならざる速さで数人の武人を蹴落とし、さらに他の武人の胸に短剣を刺した。
ヤシマは青虎が心配で這うようにして獣道をのぼっていった。
青虎も何人も振り落として気が付くと青虎、ヤシマそれぞれの周りに武人は一人もいなくなっていた。
傷つき疲れ果てながらもヤシマは青虎に駆け寄った。
怖れはなかった。
青虎は武人たちが倒れている中に毅然として立ちその黄色く光る眼はヤシマを見た。
ちょうどそのとき枝葉の隙間から満月が顔を出した。 満月は輝いていた。
その光に晒されると青虎はばさりとその場に倒れた。
みるみる大きな体躯は白く色を変え同時に小さくなっていった。
ヤシマはそのうつ伏せの白い者の正体を確かめた……
自分が思っていた通りの人物だとわかると、へなへなとその横に座り込んだ。