第22談 サイコパス

文字数 2,152文字

おはようございます。

今日は「利他」と「思他(造語)」のことを書くつもりでしたが、
今、世間を騒がせている、コーネリアスこと小山田圭吾氏の「いじめ」問題について書きます。

私も20代半ばまでは音楽業界の片隅に身を置いていましたが、まったく世代の違う彼とは「知り合いの知り合い」レベルで、実際に会ったことはありません。
ただ、才能豊かなミュージシャンとしてそれなりにリスペクトしていました。
だから今回の問題も、最初は『辞任問題のきっかけになった「イジメ」は自分が想像出来る範囲のもの』と考えていました。『クイック・ジャパン』という当時のサブカル的雑誌は名前も知りませんでしたし。
しかし、その後『ロッキン・オン・ジャパン』の記事を読みましたが……これは酷い。

読むと気分が悪くなる方もいらっしゃると思いますが、一部を転載している「ニューズウィーク」のURLを記しておきます。
(リンクではないので、お手数ですがブラウザーにコピペしてください)

https://www.newsweekjapan.jp/furuya/2021/07/post-14.php

私は小さい頃から脚に障害があったため「びっこ、びっこ」と揶揄(からか)われ、石を投げられたこともあります。
小中高と運動が苦手だったためによくいじめに遭いました。
しかし、多少の逆襲も試みましたし、殴り合った末にいじめた張本人と仲直りしたこともあります。

二十代になって、軽いジョギングからハーフマラソンを走れるまでにトレーニングを重ね、テニスやスカッシュも出来るようになった頃は、自分が「いじめ」に遭っていたことは遠い過去のように感じていました。
それでも幼少期や少年時代に受けた心の傷は深いところに(くすぶ)っていますし、優等生ぶって人のいない影でいじめた同級生の顔を思い出すと、今でもふつふつと湧いてくる憤りを抑えるのに必死です。

その一方で、私は「言葉」で人をいじめたり、傷つけたことが何度もあった……と過去を見返ることがあります。
自分が言葉で傷つけた相手に「ほんとうに申し訳なかった」とお詫びしたい。
そう思っていた一人にちゃんと気持ちを伝えられたとき、相手が私の言葉を憶えていなかったときにはホッとしましたが、ほんとうに傷つけた相手はきっと私と言葉も交わしたくないでしょう。
私は自分の愚かさを反省し続けています。

少し本題からずれました。

先に書いたとおり、私はいじめに遭ったときに多少の逆襲を試みました。
しかし、もし自分が相手に逆襲できないほどの大きな障害を持っていたら、いじめた相手を殺してやりたいほど憎んだのではないかと想像します。
小山田氏が少年時代に加害者側として障害者に対して行ったことは、もはや「いじめ」などではなく犯罪と言えるほどの暴力行為・暴行です。
もう四半世紀も前、コーネリアス小山田が女装して森の少女になりきって小枝のCMに登場していた頃、被害を受けたご本人やご家族はどんな思いでブラウン管(当時のTVは液晶パネルではなかった)を眺めていたのかと思うと……とても複雑な思いがします。

長い人生で、悲しみや切ない思いを書いたり歌ったり出来る才能はあっても、人の痛みや苦しみが理解できない人に幾度か会ったことがあります。
4〜5年前に中野信子さんが書いた『サイコパス』を読んで「こういう人ってかなりいるな」と思ったこと。小山田氏も該当しそうです。

ほんとうは、他の為に行動する「利他」が難しくても、他の気持ちや立場を思う「思他」から始めてはどうだろう……と、そんなことを書きたかったのですが、それは『サイコパス』の人には通じないことかもしれませんね。

ちょうど『サイコパス』を読み始めた頃のことなので、今でも鮮明に覚えている出来事があります。
どうしてもクルマが使えずに電車で移動したその日、ほどほどに混んでいた車内で私は優先席に向かいました。
満席だったので杖を突いたまま吊革につかまって立っていたら、目の前に座っているサラリーマン風の男性に睨まれ、私は目を逸らしました。
コミック雑誌を読んでいた彼は何度も舌打ちします。
気になって下を向いた私と目が合った瞬間に小声で言われました。
「さっきから、なに俺の前に突っ立ってんだよ。目障りなんだよ。さっさと他の席へ行けよ」
私は黙って優先席ではない他の席に移動しました。
一部始終を見ていたお婆さんが席を譲ってくれようとしましたが、私は「次の駅で降りますから大丈夫ですよ」と言って列車を降り、ホームを改札方面に少し移動してから次に来た車両に乗りました。
その「男」がサイコパスとは思いませんでしたが、「相手の立場や心が想像出来ない人」は世の中にけっこういるものだなと感じました。

明日こそ、「利他」と「思他」のことを書こうと思います。

老人は死なず、障害に負けずに生きる人と共にありたいと願うのみ
May the Force be with you!
(2021.7.21)

追伸:ハフポストのURLは削除しました。
古くから英語版のサイトを見ていたので、日本語版も普通に閲覧していたのですが、ある方からネットでは問題あるサイトと認識されているとご指摘頂きました。サイトを見てしまった方、何か意図しないリアクションがあったら申し訳ありません。お詫びいたします。
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