第41談 オリンピックとはなんだったのか?

文字数 2,542文字

おはようございます。

今日も台風が近づいているために気圧が低下していて、昨日よりは大分いいのですが、私は持病のふらつきがあるため仕事を休むことにしました。
昨日は、せっかく雑談のようなこの日記をエッセイとして読んでくださった方から温かいファンレターを頂いたのに、ボーッとしていたせいか(体調のせいにするな!と激しく責め立てるヤツが脳内にいます)その文を読み間違えてしまい、余計なコメントを返信に書いてしまいました。
ファンレターくださったMさん、申し訳ありません。そしてありがとうございました。

今日、8月9日は長崎に原爆が投下された日。
その時間もあって6日の広島に比べて忘れられがちですが、午前11時02分にはちゃんと祈りを捧げたいと思います。

さて、標題のオリンピック。
一年遅れで開催された2020東京大会は昨日閉会しました。
私の友人には、開催反対を唱えていてテレビを絶対に見ないと言う人もかなりいました。
一方で私はと言えば、ずっと開催反対と言いながら、尾見会長と同じように「もし開催するなら絶対無観客で」と柔軟な姿勢?も見せ、いざ開幕したらテレビ観戦。
骨のある反対派から見れば「根性無し」に見えるでしょう。

ギリギリのタイミングで無観客が決定し、同時にそれまで(東京は感染者が少ないと見せかけるために)抑えていた都内のPCR検査を増やしたようです。決定以前は、他県の保健所から濃厚接触者の連絡を都の担当者に伝えても何もしない(無視される)という話を、実際に関係者から聞いています。
無観客の決定を受けて都内の検査を増やしたところに、更にデルタ株の急増で追い打ちを掛けた……それが今の現状なのではないでしょうか。
今や首都圏はいつ感染してもおかしくない危険水域が迫っていて、それは私のようにワクチンを二度接種したからと言って避けられるものでもない。なぜならデルタ株の感染力はワクチンの効果も上回るからです。
幹線道路や高速道路では制限速度を10キロ20キロオーバーしてもそれは常識の範囲内というように本音と建前が乖離した日本人には、「緊急事態宣言」の言葉に効力はありません。在宅とかリモート・ワークに対応できるのはほんの一握り。自分からは拒否できないサラリーマンの通勤を止めなければ感染拡大は避けられないと私は思います。学校が夏休みの今、首都圏を全面的にロックダウンするしか食い止める方法は残されていないのではないでしょうか。

そんな市中感染の真っ只中に無観客で行われたオリンピック。
野球とソフトボールは金メダル。男子サッカーもメキシコに敗れたとは言えベスト4。個人競技も沢山のメダルを獲得しました。
最終日の昨日は、女子バスケットボールが決勝で負けたとは言え王者アメリカと競い合う歴史的光景が現実に。自転車競技では、女子オムニアム(4種目の総合成績を争うトラックレース)で、筑波大の大学院生梶原悠未選手が最終レースで落車しながらも破れたユニフォーム姿で完走して銀メダルを獲得し、かつて橋本聖子さんも果たせなかった快挙を見せてくれました。
多くの競技で、勝った側も負けた側もともに称え合う姿が画面越しに見られて、それは見ているこちらにも感動を与えてくれた。

そんなアスリートたちに「オリンピックに反対せずに無責任に参加した」「パンデミックが広がる中で自分の記録や競技の結果しか考えていない」「そもそも選手達は優遇されすぎている」「スポーツ選手がそんなに偉いのか?」と批判や不満をぶつける声も聞こえます。
私は、オリンピック開催と同時にアスリートを批判するミュージシャンの友人にこんなことを言いました。
「もしミュージシャンの演奏生命が十年前後で、出場できる国際的なコンサートが4年に一度しかなかったら、厳しい状況下でも出演したいと思わないだろうか? 開催反対を強く訴えられるだろうか?」
どうやらそれはあまり響かなかったようですが。

昨日の夜、閉会式を家族がテレビで見ていて、見ないつもりだった私も見てしまいました。
「参加した選手たちが思い思いに楽しむ閉会式」と聴いていましたが、そこに繰り広げられるのは目の前の選手たちをひたすら退屈させる学芸会のような光景(これでもかなり抑えめに書いてます)。私は「悪夢だ」と呟いてしまいました。
いったいなにを言いたいんだろう? と、駆りだされたスカパラのメンバーや大竹しのぶさんが哀れにさえ見えてきました。
そして次期開催のパリの垢抜けた映像。日本は閉会式で世界に向けて恥を晒しているように思え、穴があったら入りたいような気持ちになりました。

閉会式で夢から覚めました。
感動の涙の後で全て夢だった……と夢落ちする映画を見せられたような後味の悪さ。
もちろん全力で戦った選手達の記録は歴史に残りますが、私たちにとって今回の東京大会は白日夢だったのではないか。
その意味で閉会式には、夢を覚醒させて現実に目を向けさせる大切な働きがあったのかもしれません。

なんだかんだ言っても、やっぱりオリンピックはお祭りです。
日本中でお祭りが自粛、中止となる中でIOCの圧力に屈せずに中止とすべきだったのでしょう。
IOCにそれを言えない政府は腰抜けです。

そして、コマーシャリズムの権化と化したオリンピックはもう終わりすべきだと私は思います。
現役やそれに近いアスリート自身の運営によるもっと若い組織で草の根的に開催する、本来あるべき「参加することに意義のあるオリンピック」。
三大ネットワークに依存せずに、インターネットを使って実現できないものでしょうか?
北京には期待できそうにありませんが、世界にはお金のかかりすぎるオリンピックにうんざりしている人も多いはず。
たった3年ですが、考えようによってはまだ3年もあります。
自国の強みや魅力をアピールしたい面もあるでしょうけれど、何度も革命や改革を繰り返してきたフランスならできるかもしれません。
パリでオリンピック革命!

他力本願も良いところですが、日本政府は国民の言うことを聞きませんし、日本人にはそんな意志や実行力はなかったので、フランスの皆さん、ここは是非お願いします。


老人は死なず、ひとまず閉会式の悪夢は忘れて今日は長崎に祈りを向けるのみ
(2021.8.9)
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