第79話 奇跡的な回復

文字数 1,659文字

こんばんは。お久しぶりです。
オミクロン株の感染拡大は容赦なく、私の周囲にもぼちぼちと現れ始めました。

さて、去年の牛歩のような執筆ペースから脱皮して、今年は寅の皮を着て少しスピードアップしようと思っていた矢先のこと。
実は数日前に事故に遭いました。
事故と言っても自動車事故ではないし、遭ったと言っても原因は自分にありますが。

外出先の時間貸し駐車場で、機材と楽器を自家用車から降ろし、移動用の台車に積み直していたとき、台車に止めていた強力なゴムバンドの先端に機材を引っかけてしまい、その拍子に留め具が外れました。瞬間、何本ものゴムを束ねてナイロンで編み上げた直径7mmの黒いゴムバンドが、引き伸ばされていた強い力で反発して、ものすごい速さで跳ね上がりました。
車のボディに当たっていたら間違いなく大きな凹みになっていたはず。おかしなもので、一瞬「クルマに当たらなくて良かった」と安堵しましたが、その先端は実は愛車ではなく利き目である私の右目を直撃していました。
激痛を覚えて私はその場に座り込み、左目を手で塞ぐと光さえも感じることが出来ません。のろのろと立ち上がって、恐る恐る左目でサイドミラーを覗くと、血こそ流れていませんでしたが、右の眼球は白濁していて黒目が全く見えませんでした。

このままでは周りに迷惑だ……と思った私は、急いで降ろした荷物を車内に戻し、スマホと財布だけをパーカーのポケットに入れて、車のキーをロックし、歩いて近くの病院に向かおうとしました。
ところが、目眩の病気の後遺症のために普段から真っ直ぐ歩くのが困難な私は、片目——それも著しく視力低下している左目——だけではゆっくり歩くことも出来ず、激しい目眩のためにその場に座り込んでしまいました。

慌てて救急車を呼んだつもりが110番してしまい、「事故ですか? 事件ですか?」と訊かれて間違いに気づく始末。
やっと119番した後、しばらくして駆けつけてくれた救急隊員に、怪我をしたときの状況と既往症を訊かれ、全て答えました。
気が動転していたせいか、血圧は上が188——普段は120前後——まで上がっていて、熱も少しありました。

救急隊員はしばらく複数の病院とやりとりしていましたが、どこの病院も受け容れてくれず、待つこと30分。
「コロナ禍で大変な中に申し訳ありません」とひたすら謝る自分。
最終的に、入院や手術は出来ないが診察だけなら……という条件で向かった先は、いつも内科にかかっている地元の総合病院でした。

眼球破裂に至ってもおかしくないほどの激しい衝撃だったので、救急車の中では右目の失明も覚悟しましたが、眼科医の診断は「眼球打撲」。
表面は傷だらけで、水晶体も硝子体も血で濁っていて網膜がよく見えない……と医師は言っていましたが、その後は眼科医の適切な治療で奇跡的な回復を見せ、今日から右目を開けられるようになり、視力も少しずつ回復しています。

しかしながら、今はまだ本を読むことが出来ませんし、コンピューターのフォントサイズを普段の倍くらい——11ポイントを20ポイント——にしないと文字が読めず、これだけ打つのが精一杯……と言いながら長い(苦笑)。
コンピューターを使わないと進められない仕事にはいつ復帰できるのか未知数ですが、利き目の失明を免れただけでも感謝です。

仕事を休まざるを得ない今は、「これも頂いた時間」と切り替えて、Amazonのオーディブルで、ユヴァル・ノア・ハラリやマイケル・サンデルのまだ読んでいなかった「本」を聴いています。

何か工夫しながら近いうちにまた書き始めるとは思いますが、しばらくは執筆もお休みさせていただきます。
と言いながら、案外去年のインターバルより早く復帰できるかもしれませんが(笑)。

コロナ禍の大寒に冬将軍が居座り、寒い毎日が続いています。
そのうえ、間もなく花粉の季節も始まります。
皆さまもどうぞご自愛ください。


老人は死なず、こうして沢山の危機を救っていただいて今日がある……と目に見えない力に感謝深まる夕べ
(2022.1.21)

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