第66談 007は何度死ぬ?

文字数 1,410文字

おはようございます。

読書の秋、芸術の秋、映画の秋?
今、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』が映画の興業トップみたいですね。
ビリー・アイリッシュが歌う主題歌も売れてるみたいだし。
私はまだ観に行っていませんが。

小5から中2の頃、007にハマりました。
ちょうど初代ボンド役のショーン・コネリーの最後の頃です。
きっかけはボンドの愛車アストン・マーチンDB5。ミニカーやプラモデルなど、何台か持っていました。
同じ時代のジャガーEタイプに比べてクラシカルな出で立ちで、スポーツカーのロールスロイスなんて呼ばれていた当時のアストン・マーチンに、ジェームズ・ボンドほど似合う男はいませんでした。
日本を舞台に撮影された『007は二度死ぬ』では、ロードスター(オープンカー)に改造されたトヨタ2000GTも登場し、それもなかなかスタイリッシュでしたが、やはりボンドは英国車のアストン・マーチン。



映画をきっかけにイアン・フレミングの原作も読み、架空のスパイの活躍を妄想するうちに、ボンドほど粋な男でなくてもスパイになれるんじゃないか? むしろ地味で目立たない男の方が向いているんじゃないか? と思うようになった私は、殺しのライセンスを持った自分を夢見て、スパイに成りきりました。

今で言うコスプレ? ただしスパイですから、外からモロバレでは困ります。
モデルガンのワルサーPPKを購入し、それを脇の下に隠すようにガンを保持するホルスターに収め、その上から詰め襟の学生服を着て、中一の私は一時間の電車通学の間ドキドキしながら学校に通いました。
もし銃を持っていることを警官に咎められたらちゃんと身分を証明できるように、警察手帳サイズの「殺しのライセンス」をポケットに忍ばせていました。(笑)
ドジが多い私はどちらかというとマックス・スマートか、後のオースティン・パワーズに近かったかもしれませんが。(苦笑)
モデルガンを犯罪に使う事件など殆どなく、子供でも普通に買えた平和な時代のことです。

それほどの007オタクでしたが、熱中したのはコネリーが引退したあとに製作された『女王陛下の007』まででした。
この作品だけ、ジョージ・レイゼンビーというモデル出身の新人俳優がボンド役を演じていますが、これはこれでフレミングの原作に近い良く出来たボンド映画だったように思います。

レイゼンビーはその一作だけで、世に二代目(実際は三代目)と思われているロジャー・ムーアに引き継いだわけですが、殆ど同時になんと降りたはずのコネリーがカムバック。
期待に胸を膨らませて観に行った私は、「007は死んだ」と思いました。
一気に熱は冷め、ワルサーPPKはホルスターと一緒に雑誌の「売りたし・買いたし」掲示板で売ってしまいました。

その後も、私の中ではコネリーを超えるボンドは現れず、長い間007は死んだままでしたが、ダニエル・クレイグになってちょっと生き返りました。
その間に、世の中でも潮の満ち引きのように何度かの007ブームがありましたが、クレイグがこれを最後の出演にすると言う今は、コネリーの最後の時代をなんとなく彷彿とさせます。
クルマもあのアストン・マーチンDB5。

現実的にはスパイなんてまっぴらですが、明日あたり映画館に行ってみようかと。
観てから☆を付けることも考えましたが、007ってそういう映画じゃないんですよね。


老人は死なず、007は何度でも死ぬ
(2021.10.11)
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