第52談 七転び八起き(前編)

文字数 1,312文字

こんにちは。

お久しぶりです。
今、必死になって『エイリアンズ』を執筆しています。
一話ずつではなく一気に最後まで書き上げるつもりで進めていますが……。
が……の後はご想像にお任せします。(笑)

さて、今年の春、前職を定年退職したあとに計画していたことが二つありました。

一つめは、自分の本職である音をメインにPodcastやYouTubeで配信を開始すること。
二つめは、若い頃に諦めたドラムを本格的に再開すること。

詳細の説明は避けますが、二つ目のドラムは一つ目のスタートにも関わっていました。
そのため、退職前には週に一度練習スタジオでドラムを叩き、自分なりに納得できるレベルに近づけていた筈でした。

私がプロのドラマーになることを断念したのは24歳の時。
脚の障害もありましたが、友人のバンドに加入したドラマーの演奏に圧倒されたのがきっかけでした。プロになるか就職するかで悩んでいる彼と比較して、自分にはプロになるだけの技量が備わっているのかと。
そのドラマー(神保彰氏)はプロの道を選び、その後日本を代表する第一人者になったので、十年以上経ってから、諦めるのは早かったと後悔もしましたが。(苦笑)
それは、人と自分を比較してはいけない……という戒めのきっかけになった出来事でもあります。

それから数十年の年月が流れ、罹患した目眩の病気の後遺症に悩んでいた頃、リハビリにドラムが良いと知って還暦を過ぎてから練習を再開。
しかし最初は笑っちゃうくらい手足が動かず、練習を終えた突端に泣きたくなりました。
もはや若い頃のようには叩けず、速いタム移動をするとスティックを落っことす。(笑)
そんなへなちょこな自分は、逆立ちしてもドラムソロで喝采を浴びるようにはなれないと諦めました。
その一方で、他のプレイヤーやボーカリストが演奏や歌に専念できるような気持ち良いグルーヴを生み出せたら……と秘かな期待と目標を持ちました。

その後は、個人練習や飛び入りセッションを重ねて少しずつ勘を取り戻していきました。
旧友に誘われて、テナーサックス、ピアノ、ギター、ベース、ドラムのクインテットに加入。一昨年、ジャズフェスティバルに出演した頃は、まだイメージの半分程度しか叩けていませんでしたが、更に練習を重ねて自分が思っていたイメージの7割くらい叩けるようになった頃のこと。
飛び入りで参加したセッションで、プロとの演奏経験も豊富なベーシストやギタリストから言われました。
「アフタービートがめちゃくちゃキマってるね」
「すごく良いグルーヴしてるよ」
当にそこを目指してきた自分にとって、願ったり叶ったりの褒め言葉でした。

——豚もおだてりゃ木に登る(笑)

その時点で欲が出てきました。
もしかしたら、史上最年長のプロデビューが可能ではないか? と。
もちろん、自分と同世代のドラマーは沢山いますが、彼らは今や40〜50年のキャリアを持つレジェンドです。
でももし、65歳過ぎてプロデビューできたら業界のネタになるかもしれない(笑)……そう思って、練習に精を出しました。

長くなってしまったので、前後に分割しました。
続きは翌日に。


老人は死なず、明日も密かにトレーニングに励む
(2021.9.2)
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