第3談 陰謀論と病歴と解脱

文字数 1,578文字

早起き老人の独り言、第三弾。
この書き出し……これで最後にします。

私は既往症あり+65歳以上なので、ワクチン接種は医療従事者の次に優先されたグループです。
ファイザーのワクチン2回目。接種直後は何もなかったのですが、翌朝からじわじわと痛み始め、接種後26時間経って突然の吐き気と微熱。
これが覚悟していた副反応というヤツか……と思いましたが、恐るるに足らず。
インフルエンザ・ワクチンでも副反応はありましたし、ワクチンよりもウイルスの方がずっと怖い。少なくともワクチンは人に感染させませんし。

先日、久々に会った七十代の知り合い(女性)とワクチンの話をしたら「私はアレルギーがあるから接種出来ないんです」と言われました。
薬物アレルギーかと思って「それは大変ですね」と返したら、「花粉症なんです。夫も狭心症なので打てないんですよ」と言われました。
「私は花粉症で狭心症ですが……」と返しましたが、接種するしないは本人の自由なので「よく主治医の方と相談されると良いですよ」と伝え、敢えてそれ以上は言いませんでした。

もう一人同世代で接種しないという人がいて、理由を聞いたら「ワクチン打ったら死ぬから」だそうです!
なんでも、ウイルスもワクチンもユダヤ人による人類滅亡計画(笑)で、そもそもコロナウイルスはユダヤ人が中国で撒いたそうです。
インフルエンザの時もワクチン陰謀論を信じて「打ったら10年以内に死ぬから」と絶対に接種しない人がいましたが、私はこうして生きてますよ? 何十年も毎年接種してますけど。

さて、陰謀論はともかく、これを機に健康について考えてみました。
と言うのは、先日初診の医師に病歴の話をしたら驚かれたからです。

小児期のペルテス病の後遺症で右股関節に変形性股関節症を持つ身体障害者。
前庭神経炎(詳細を知りたい方は拙作『リトルウィング』をお読みください)の後遺症で真っ直ぐ歩行出来ないため杖が欠かせず、気圧が低下すると起き上がれなくなる。
冠攣縮性狭心症(安静時狭心症)のため薬を飲み続け。
過敏性大腸炎で消化器内科通い。
足の裏の腫瘍(一応良性)の複数回再発のため通院が途切れず。
右手中指第一関節のヘバーデン結節と完治しない第二関節の骨折のリハビリ。
それに重度の花粉症。(笑)

毎年の医療費は30万を下らず、医療費控除を受けても月に2万円以上は医療費に消えます。
一方で障害者手帳のおかげでいろいろ優遇も受けてます。

考えてみると、様々な病が直接の死因とはならなくなって、人はずいぶん長生き出来るようになりました。一昨年94歳で他界した母は「私はこの施設では若い方なのよ」なんてよく言ってました。
でも、どんなに医学や科学が進歩しても、人は老いや病、生きることや死ぬことからは逃れられません。
イエスが誕生される5世紀以上も前に、ゴータマ・ブッダは人として避けられない四苦(しく)(生老病死)に支配されない「解脱(げだつ)」の道を説かれました。逃れることが出来ないのなら、如何(いか)でこれを楽しみとせん! と。

私より少し上の世代の人に聞くと、末期癌を克服したとか、ペースメーカー入れてるとか、糖尿病でインシュリン注射が欠かせないとか、私よりずっと大変そうな方も沢山います。でも、そんなふうに一度死を覚悟して病から復活した人は強い。皆さん、明石家さんまの名言「生きてるだけで丸儲け」という感じです。
私には病気のために出来なくなったこともありますが、小説のアイディアも含めて趣味は死ぬまでにやりきれないほど沢山あります。

陰謀論などの迷いや疑いに支配されず、生かされている感謝を深めて、他の幸せを願いながら慎ましく謙虚に生きる。そんな老後を送っていきたいものです。
と言っても、幾つになっても「慎ましく謙虚に」からは程遠い自己主張の強い爺さんですが……

ネコムービーの話はまた次回に。

老人は死なず、ただ見返るのみ
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