第24談 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

文字数 1,939文字

こんにちは。

昨日のサッカーU-24日本代表の対南アフリカ戦。審判があまりに酷くて、まるで敵がもう一人いるアウェイのゲームのようでしたが、後半に久保が完璧に決めて勝ち点3を得ました。
東京2020オリンピックは今日開会式を迎えます。
選手村のバブル方式は機能していない上に、その中に感染者がいたらダイアモンドプリンセス状態になるのではないかと私は心配しています。この先、選手や関係者にコロナウィルスがまん延して怖ろしいことになりそうな予感さえしていますが、虚しさを感じつつも気になる試合はテレビ観戦で応援しようと思います。
個人的には開催反対でしたが、私は絶対に試合を観戦しないと誓うほど意志は強くありません。筋金入りの反対派から見るとポリシーがないと言われそうですが、こんな時代に生まれてしまったアスリートたちに罪はないし、彼らが真剣に戦う姿は美しいと思うからです。
ただ、これを機に現代の商業主義バリバリのオリンピックは一旦ご破算にして、本来の「参加することに意義がある」アマチュアリズムのオリンピックを再構築すべきではないかと私は思っています。
アメリカのテレビネットワークの力で時期や時間が限定されるようなら、いつでもオンデマンドで見られるネット配信にすれば良いですし、大きなスポンサーや巨大ネットワークの力を借りなくても実施できる手作りのオリンピックが実現できたら、どんな時代にも持続可能なスポーツイベントになると思うのですが。

すみません。本題と関係ない話になってしまいました。

標題の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
痛ましい事件に揺れた京都アニメーションの作品です。

今日の朝早く、テレビシリーズの最終話『自動手記人形と「愛してる」』を観終わりました。
すぐにここに書くつもりだったのですが、何かを書くには少し時間が必要でした。
ヴァイオレットが自分自身が出す手紙をなかなか書き上げられなかったように。

人は生まれる時代を選ぶことが出来ません。そして親を選ぶことも。
主人公のヴァイオレットは、長く戦争が続く時代に親もなく名前もないまま生きる兵器として育てられ、ギルベルト少佐の元に預けられます。
少女が人ではなく物として扱われる様子は、小さな子供を兵器として育てるアフリカやアラブの過激派組織を連想させますが、この物語の国家や軍では当たり前のことのようです。
ギルベルトは目に入った花の名前から少女をヴァイオレットと名付け、人としての心を尊びながら大切に育てます。そして最後の戦いで、彼はヴァイオレットに自由に生きることを望み、愛の言葉を告げます。
やがて戦争は終わり、戦闘で両腕を失ったヴァイオレットは新たに義手を得て、ギルベルトの友人ホッジンズの会社で手紙の代筆行を生業とする自動手記人形(この名前の由来はちゃんと説明されます)となります。
ヴァイオレットは仕事で出逢った人々との交流を通して成長し、求めていた「愛」の意味を知っていく。
……そんなストーリーと簡単に説明してしまってよかったのでしょうか。物語の順番どおりではありませんし。

ヴァイオレットの義手はとても高性能ですが、ルーク・スカイウォーカーのように見た目で区別がつかないようなものではなく、精密機器のように機械的なもの。彼女が手袋を外して金属の手を露わにすると目の前の人は驚きますが、みんなそれ以上の反応や追求はしません。
戦争で手足を失った人が多い時代には当たり前の光景なのかもしれませんが、この物語の登場人物はみんなヴァイオレットに対してごく自然に接します。少女を兵器として使う社会は許せませんが、いじめや偏見の少ない社会には優しさを感じます。

京アニの皆さんの命がこもった作品と呼んでも良いのかもしれませんが、観ていてスタッフの皆さんのまごころやまことを感じます。
架空の世界、架空の時代の物語ですが、第一次大戦後のヨーロッパを彷彿させる風景は緻密に描かれているし、登場人物も個性豊かで魅力的。
そんな世界で健気に生きるヴァイオレットを心の中で応援しながら13話まで観させていただきました。
今回は☆は付けられません。
ひとことで言うととても美しいアニメ作品ですね。
私はこういう切ない物語が大好きですが、途中何度も涙を拭いました。もちろん最終話も。

これから、あの事件の後に劇場公開された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 — 永遠と自動手記人形 —』を観させていただきます。
その後、去年の劇場版を観たら次は小説でしょうか。

命を落とされた方々のご冥福と、大きな傷を負ってしまった方々の安らぎを祈りながら、劇場版アニメを拝見させて頂きます。……合掌


老人は死なず、年をとっても感受性を失いたくないとただ願うのみ
(2021.7.23)
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