第69談 剥き出しの闘争心——今年のF1は面白い!

文字数 2,540文字

(こんにちはに近い)おはようございます。
お久しぶりになってしまいました。

仕事や通院が一段落したら急に体調を崩し、ジャズフェスの出演も怪しくなってきました。
ドラムどころか、しばらく椅子に座ってキーボードを打つのも辛かったため日記も久々です。

ここ数日はベッドの上でTV(と言ってもAmazonプライムやNetflixやDAZN)三昧。
私自身もそんな状態ですし、今は地上波での放送もなく、コロナ禍で今年も鈴鹿の日本GPは中止になりましたが、それでも今年のF1は面白い!

日本時間では昨日の早朝に生中継されたテキサスのCOTA(Circuit of the Americas)で開催されたアメリカGPは最終周まで手に汗握る展開で、ベッドの中から声援を送りました。周りは寝静まっていたので心の中でですが。

ここ数年殆ど敵なしだった絶対王者ルイス・ハミルトンとメルセデス・ベンツ。
追い詰めるのは若武者マックス・フェルスタッペンのレッドブル・ホンダ。
ライバル意識剥き出しの二人はシーソーゲームを繰り広げ、フェルスタッペンはほんの僅かなリードをアメリカでさらに拡げましたが、まだたった1レースでひっくり返せる差なので、最後の最後まで結果はわかりません。

今年いっぱいで撤退するホンダも、有終の美を飾るためにかなり力が入っています。
3位にはフェルスタッペンのチームメイトであるセルジオ・ペレスが入りました。彼は途中から急にペースが落ちましたが、実はドリンクシステム(2時間近くサウナのような室内で汗だくになって戦うF1レーサーには水分が不可欠)の故障による脱水症状でヘトヘトだったようです。レッドブルのマシンでドリンクのトラブルはシャレになりませんが、ここまでなかなか実力を発揮できていなかったものの、アメリカでのレースウィークに連日速さを見せたペレスは、次戦の地元メキシコGPに向けて勢いを付けました。

メルセデス、レッドブル、フェラーリ、マクラーレンの4強の8人に誰も脱落者がいない中、4強以外の最速ポジションで角田裕毅がゴール。
いつも抜群の速さを見せるチームメイトのピエール・ガスリーがマシントラブルでリタイアしたため、ホンダエンジン全車入賞とはなりませんでしたが、チャンピオン経験者のライコネン、ベッテル、アロンソといった大ベテラン達を従えての9位入賞は立派です。
「数十年に一度の大器」と世界中から期待されながら、序盤はミスやクラッシュやチームラジオでの暴言で批判され、中盤以降はチームメイトとのスピード差にすっかり大人しくなってしまった21歳の角田裕毅。成績がなかなか期待値を上回れない中で、ホンダが撤退する来年もレッドブルのドライバーとしてアルファタウリF1で走り続けるというチームの発表は驚きでした。レッドブルは結果を残せなければシーズン中でも容赦なく首を切る「非情」なオーストリアのチーム。角田君はよほどそのポテンシャルを高く評価されているのでしょうね。漸く来年に繋げられるよう本領を発揮し始めた……と願いたいものです。

さて、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペン。
すでにポールポジションも優勝も100回を超え、シューマッハやプロストやセナを軽く凌駕した史上最強の王者ルイスですが、今年はマックスと文字通りの死闘を繰り広げています。互いに絶対譲らないために先頭争いによるクラッシュも激しく、イギリスではマックスがルイスに弾き飛ばされてタイヤバリアに激突。イタリアでは今度はマックスがルイスの頭上に乗り上げ、ヘルメットの上で停まりました。
マックスの51Gの衝撃は普通の人なら即死か全身打撲になるような激しいクラッシュで、カーボンコンポジットのF1マシンもバラバラになっていました。さらにイタリアでのクラッシュでマックスのマシンの下敷きになったルイスは、ヘイローという頭部を護る装置がなかったらヘルメットを押し潰されて重傷だったかもしれません。

あのアイルトン・セナの事故死以来F1は年々安全基準が強化され、今では死亡事故は殆どなくなりましたが、一瞬のミスは死を招きます。
絶対王者vs若武者、二人の死闘は、かつてのセナvsシューマッハ、シューマッハvsアロンソを思い起こしますが、それ以上に剥き出しの闘争心が互いの憎悪に火を付けたプロストvsセナの闘いを彷彿とさせます。

アメリカGPは大きな事故もなく無事に終わりましたが、争う必要のないフリー走行から横一列に並んで一歩も引かない二人の剥き出しの闘争心が話題になっていました。
決勝でも、ポールポジションのマックスに背後から襲いかかったルイスが首位を奪取。あわや……と思いましたが事故はなく、タイヤ交換でマックスが前に出て、より新しいタイヤを履いたルイスは緻密な計算で最後の3周に勝負を賭ける戦略に切り替えます。
ラスト一周、計算通り真後ろから襲いかかるルイス。
ところが、周回遅れ(ミハエルの息子のミック・シューマッハ)をパスする際にそのトゥ(前を走るマシンの空気抵抗によってスピードを得る)を利用して追いすがるハミルトンを突き放したマックスは僅差で勝利。幸運でしたが、運を勝利に繋げられるのも実力のうち。

ルイスは、ライバルのマックスのことを「初めてのチャンピオン争いが精神的プレッシャーになっている」と発言し、マックスから「むしろプレッシャーを感じているのはハミルトンでは?」と反論されました。
ここ数年全くミスをしなかったパーフェクトな絶対王者ルイス・ハミルトンですが、手強いライバルに追い詰められてか、今年は王者らしからぬミスが目立ちます。マックスの反論通り、私にはルイスの方がプレッシャーを感じているように見えます。

今シーズンも残すところ5戦。
大きなミスやクラッシュやマシントラブルがなければ、若武者マックス・フェルスタッペンがこのまま逃げ切り、王者ハミルトンを倒して新チャンピオンになると予想しています。

今日はこの後停滞していた小説の執筆を少し進めてみたいと思います。


老人は死なず、寝込んでいてもスポーツ観戦は愉し
(2021.10.26)

追伸:気圧のアップダウンのせいか頭痛のために午後は何も出来ず、小説のアップはまだ先になりそうです。
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