第58談 封印

文字数 2,623文字

こんばんは。

昨日から連載を始めた『プラトニックナイト』に関してご批判を頂きました。
「コロナ禍で医療従事者が大変な思いをしている時に、女性医師を登場人物にした合コンや下ネタの小説とはどういうつもりですか?」
要約するとそんな内容です。

一人でも不快感を持たれた方がいらしたら投稿すべきではないと考え、即刻公開停止にしました。
当分の間は(或いは永遠に)封印させていただきます。
いろいろ言い訳したい気持ちもありますが、決して真面目な医師やSEを茶化したかった訳ではありません。パンデミック前の合コンで知り合った二人が、バッドタイミングで恋人にも夫婦にもなれないまま、コロナ禍でさらに翻弄されていく……というそんなストーリーで、私の友人や知人にもそういう職種の方がいらして、むしろ目に見えないご苦労や大変さを知っていただきたい気持ちで書き始めたのですが、タイミングが悪すぎたのだと思います。

一つだけ、医療関係のことでよく誤解があると感じることがありますので書かせてください。
私は月に4〜5回かそれ以上、病院に通院しています。
2ヶ月に一回過敏性大腸炎のために通院している地元の総合病院と、狭心症の薬を処方していただく為に3ヶ月に一回通院している地元のクリニックを除いて、他の治療や診察で通院していた4科は都内にある総合病院に集約しました。さらに春と秋だけは、通院先に耳鼻科が加わります。

ところが、日頃あまり病院に行かない方から「そんなに病院に通っていて大丈夫ですか?」とよく言われます。
それどころか、「(感染症でもないあなたが)病院に行くことで、医療従事者に余計な負担を掛けているんじゃないですか?」と言われたこともあります。しかし、その答えはノーと言うよりむしろ逆です。
みんながコロナを怖れて病院に行かなくなれば、病院は経営ができなくなってしまいます。
コロナウィルスの感染病棟は、国からの補助は出ても黒字にはなりません。もし、他の科の患者がゼロになれば、その病院は経営を維持することさえできなくなってしまうのではないでしょうか。

病院に行かない多くの方が、医療従事者はみなコロナウイルスと(直接)戦っている……と思っているようですが、小児科医や皮膚科医は防護服を着けていません。
病院と聞くとクラスターを心配される方もいらっしゃるようですが、感染症対策を行った後の病院の外来ほど安全なところはないとさえ私は感じています。
どこの病院も、感染症に対応する発熱外来は完全に独立(隔離とも言えます)させた状態で稼働させていて、通常の診療とは交わるところがありませんし、一般外来の患者は入り口で検温とアルコール消毒を受け、また外来の担当医は新型コロナなどの感染症には直接携わっていません。
ダイヤモンドプリンセスの船内通路のように「清潔」「不潔」と書いた張り紙とロープで区分けしているような病院はありませんし、発熱状態の感染者(一部の自宅待機の方は自分で買い物に行くよう保健所や病院から言われるそうです)も買い物に来るスーパーやデパ地下やコンビニより、病院の一般外来の方がよほど安全だと思います。

どうやら病院にあまり行かない方は、テレビなどに映る防護服を着た感染症病棟の光景が、病院全体に広がっていると誤解しているのではないでしょうか。最近では、コロナウイルス陽性患者の方の出産や人工透析がニュース映像で流れますが、例えば精神科や循環器内科や整形外科の医師がコロナウィルスの感染症患者を診ることは滅多にありませんし(感染者が狭心症だったり交通事故等で骨折した場合は別です)、それは看護師も同様だと思います。
もちろん、病院全体で感染症に携わるスタッフをケアしたり、ワクチン接種に協力したりと、多くの医療従事者の方々がコロナに向き合って努力されていることには間違いありませんが。

マスコミ報道と言えば、あの富岳のシミュレーション映像の報道が余程強烈だったのか、さらにネットが情報を加速したためか、最近はウレタンマスク警察をよく目にします。正しい使用法に則っていればウレタンマスクにもそれなりの効果があることは、理研の担当者の方もお話しされていますが、不織布マスク以外の人は非国民と言うような感じで叩く人さえいます。

ワクチンのこともネットの拡散やマスコミ報道で、混入物や副反応を怖れて躊躇う人が増えているようですね。また、不安を煽る虚偽報道も後を絶ちません。
もちろん、3度目の接種が語られ始めたように、ワクチンが万能からは程遠いこともまた報道されていますし、選択の意志は一人一人に委ねられています。しかし、実際にコロナに感染した人の大変さは想像以上です。私の友人知人で感染した人の多くは早くワクチン打っておけば良かったと後悔しています。

様々な面に於いて、私たちは正しく知り正しく怖れることが大切。
何をインプットし、そこから何を捨てて、何を得るか。メディアリテラシーが本当に重要ですね。これからの教育にはもっともっとそうした「情報を読み解く力」を取り入れるべきではないかと思います。
そして不寛容ではなく、寛容であることもまた大切なのではないでしょうか?

今、マスコミは自民党総裁選の話題でもちきりです。
フェイクニュースやアンチキャンペーンは、実はほんの数名が実行しているだけという話もあります。先日まではネットで持ち上げられていた河野太郎氏ですが、最近はネット上のあちこちで河野太郎叩き(潰し?)を目にするようになってきました。
総裁選候補者で一番真っ当なことを発言している河野氏は、自民党では最後の砦だと私は思っていましたが、アンチの人に言わすと、「河野談話の河野洋平の息子で、女系天皇を支持する非国民」だとか?
数名のインフルエンサーを使って複数アカウントでSNSを炎上させることなどそれほど難しいことではありませんし、愛国を掲げる右翼団体がお金を注ぎ込んでアンチキャンペーン広告を打っているようも見えます。
私自身、中道を自負するのも最近は難しくなってきたと感じていますし、今の政党の中では共産党が一番まともと感じるようになった私は、これ以上この件について言及することは避けたいと思います。ノベルデイズはプロパガンダNGですし。

世の中がどんどん不寛容になって、気づいたら何もなくなってしまったという時代にならないことを願っております。


老人は死なず、今は自粛あるのみ
(2021.9.18)
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