第63談 成り行きまかせ

文字数 2,104文字

(今日も遅めの)おはようございます。

昨日から新作の連載を開始しました。
おそらく中編くらいの尺になると思いますが、今回はプロットを細かく作っていません。
心配性の自分は途中で物語が破綻することを怖れて、いつもこれでもかというくらい細かいストーリープロットを先に設定してから執筆を開始します。
書いているうちに物語がプロットをはみ出して脱線したり暴走することはよくありますが、今までに2000文字以下の超短編を除けば、そういうプロットを作らずに書き始めたことはチャットノベル以外にありませんでした。
登場人物の背景や性格、それに大まかな流れだけは頭の中に描いていますが、物語の進行は成り行きまかせという初めての書き方です。

実は、すでにプロット作成済みでまだ執筆開始していないストーリーが20作以上あるのですが、逆に細かく設定しすぎてしまったためになかなか筆——じゃなくキータッチですが——が進まない。
そう言う中で、突然閃いて書き始めたのが新作の『プラトニック・ラブ・アフェア』です。

20代の独身時代、私には恋愛感情無しでよく一緒に行動していた女子の友達が何人かいました。
思い出すとみんな結構美人だったのに、面食いで惚れっぽい私がなぜ恋愛感情を持たなかったのか、今となっては不思議ですが。
そんなわけで男女間でも友情は成り立つものと私はずっと信じていました。

四半世紀以上も前、まだSNSもなく、出会い系サイトなどが横行する以前のこと。
私は男女問わずに沢山のオンラインフレンドとインターネット上で親しくなりました。オフ会に参加して友達になった人も少なくありません。
四十歳前後の自分はどこへ行っても最年長でしたが、インターネット以前のパソコン通信の時代からフォーラム仲間とのオフ会に参加していた自分には、若い世代とのフラットな付き合いにあまり抵抗がなかったのです。
そんな頃にオンラインで知り合った女性と、互いに顔を知らないままメール交換するようになりました。奥さんも子供もいる自分でしたが、インターネットという新しいコミュニケーション手段に酔っていたのでしょうね。でもその中身は要するに文通です。

お互いに東京の住人で映画好き。今度ゆっくり話をしましょうということになり、会ってみたら相手は女性の振りをしている男性かも知れない。いやもしかしたらAIかも?(笑)——と私はそれなりの覚悟を持って会うことになりました。
そのときに待ち合わせた場所が、今は六本木ヒルズが建つ場所にかつて建っていたWAVEの地下のミニシアター、シネ・ヴィヴァン。そして、ゆっくり話した場所が一階にあったレイン・ツリーでした。(……ただの客の分際でこんなことを書いてしまいすみません)

でも直接会って均衡が崩れました。なぜって、その相手がすごく可愛らしい美人さんだったんです。パンフレットにシミを作るのは自分の方で、その方はとても素敵な方でした。
おまけにその日は中学の同級生(女子)に目撃されてしまい、「猿実くんが若い綺麗な女性と昼間っから会ってる」なんて噂されてしまう事態に。(苦笑)
友情と思っていた関係がなんだか違う物になりそうなことを自覚して、結果的にメール交換を終わりにしました。
お互い七十八十になっても茶飲み友達でいたいね……なんてメールでは話していたのですが、こちらからその友情に終止符を打ったわけです。

最近、プラトニック不倫について書かれた記事をよく目にします。
本人同士は節度を持って付き合っているつもりでも決して周りはそうは思っていない。
たとえ肉体関係がなくても、いくらかでも恋愛感情があれば離婚の原因や理由になり得る。
第三者から見れば立派な不倫である……と。
そんなケースが増えているようです。

自分も危機的状況でした。でも互いにそんな気持ち(恋愛感情)がなかったら、男女間でも真の友情は成り立つものなのか?
今でも答えは出ません。(好例というか例外がありましたので【追記】に記します)

さて、初めて細かいプロット無しに書き始めた一般小説の新作。
ゴールは見えているんですけれど、これからどうなるでしょう?


老人は死なず、でも今日は午後からまた病院
(2021.10.4)

【追記】
男女の友情について思い出したこと。
私には一人だけ純粋に友情を育んだ女性がいます。25歳で知り合い、15年前にその方が亡くなるまでの26年間、お互いに家庭を持っても家族ぐるみでずっと交際を続けていました。
すぐにその人を思い出さなかったのは、まったく恋愛感情がなかったからです。その人もみんなに美人だと言われてましたが、私の感性には恋愛の対象として訴えるものがなかった。多分相手の方も同じだったと思います。それでも互いに信頼し、リスペクトしていました。
それって純粋な友情だと思うんですけど……。
独身時代に彼女の結婚式に招待されましたが、新郎新婦の友人で異性は私一人。親戚や職場関係者から好奇の目で見られ、とても居心地の悪い思いをしたことを覚えています。きっと「元彼氏」と疑われていたのでしょうね。それほど男女間の純粋な友情は希有なことなのでしょう。
(2021.10.5.編集済)
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