第12談 評価がまっ二つに分かれる映画

文字数 1,185文字

おはようございます。

ちょっと久々に映画の話です。

私は生涯——自分の意志で観るようにになってからの54年間——☆5つと思うほど影響を受けた映画が10本あります。
今日の話題はそのうちの一本。

監督は、アカデミー賞主演男優賞のオスカー俳優として、またそれ以前にはマドンナの元夫であり、トラブルメーカーとして知られたショーン・ペン。
因みに、海賊のような環境保護団体シーシェパードを支援したり、マスコミとのトラブルで悪名高いショーン・ペンですが、ハリケーン・カトリーナの時は真っ先に被災地に赴いて救援ボランティアに参加し、泥水に腰まで浸かって被災者を助け出す写真がごく一部で報道されていました。その後も、麻薬王との独占インタビューなど話題に事欠かない人物であることは変わりありませんが。

ショーン・ペンは1991年の『インディアン・ライナー』で監督デビューし、この前作『プレッジ』(2001年)も関係者の評価は高かったのですが、2007年に監督した本作も映画関係者にファンの多い作品です。

その作品のタイトルは『イントゥ・ザ・ワイルド』
先に書いたように私は☆5つです。



原作はジョン・クラカワーのノンフィクション『荒野へ』。
アメリカの一青年が放浪の末にアラスカで死体で発見された事件を描いたものです。

私は映画館で魂を揺さぶられ、もう一度観て、その後にDVDも購入しています。
その後、何人かの映画関係者や芸能人が「一推しの映画」として挙げていたので、知り合いや友人にずいぶん勧めました。
ところがその評価は真っ二つ。

「良い映画を教えてくれてありがとう」
「すごい映画ですね」
「マイベストムービーになりましたよ」
と言ってくれた人がいた一方で、
「あの映画は勘弁して欲しい」
「落ち込んでしばらく立ち直れなかった」
「なんであんな映画を推薦したんですか?」とか、
「人生で最悪の映画だった」と言われたことも。

これほど極端に評価が分かれた映画は、決して短くはない私の人生でも過去に経験がありませんでした。
強いて挙げれば『2001年宇宙の旅』と『ディアハンター』かもしれませんが、これほど極端ではなかったように記憶しています。

ある意味で問題作とも言えるこの映画ですが……演出は素晴らしい。
主人公アレグザンダー・スーパートランプ(本名クリス・マッキャンドレス)を演じるエミール・ハーシュの演技もフレッシュだし、出会いの一つ一つ、台詞の一言一言がとても意味深い。その積み重ねが主人公に一つの考えをもたらすのですが……ラストシーンの捉え方で180度印象が変わる映画だと思います。

まったく関係のない話のようですが、二分された評価は、もう意識のない家族を前にして延命措置の判断を迫られたときの答えと似ているように私は感じました。
私は(延命措置は)しない派ですが。

皆さんはどうでしょうか?

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