第93談 プロミシング・ヤング・ウーマン

文字数 2,205文字

こんばんは。
5日ぶりです。しばらくお休みしようと思っていましたが、気まぐれにまた書きたくなってしまいました。

今そこにある危機……というか、東京だけでなく全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が収まりませんね。
あちこちでお祭りやイベントが中止になっていますが、私も8月末に予定していた「納涼アマビエ・セッション」を中止にしました。
実現したら、ロック、ブルース、ソウル、AOR、シティ・ミュージック、フュージョン、スタンダードジャズと幅広いジャンルの、プロ・アマ交えての面白いセッションになったと思いますが、「アマビエ」を銘打ったセッションでクラスターが発生したらシャレになりません。
普段顔を合わせないメンバー20名以上が、この時期に地下にある狭いライブハウスに集まるのはリスクが高すぎますし、主宰者である私自身が基礎疾患のある高齢者で、医師から人が集まるところは避けるように言われているので致し方ないところ。

正直なところ、屋内の換気の悪い場所はマスクをしていても怖いです。
ずいぶん前から「エアロゾル感染」を警戒する専門家の声がありましたが、日本はその面では殆ど対処してこなかったから、人口が密集する都市部では感染拡大が避けられないのでしょう。
感染したくなければ、人に会わないこと。
どうしても旅行したければクルマで出かけて、一人または家族とだけ過ごし、あまり外出せずに、ホテルの室内で過ごすとか?
もし外に出ても、山の上や森の中、公園やお寺や神社の境内、屋外スタジアム、ビーチやプールなど、屋外なら感染する可能性は(近くの人と会話したり飲食しない限り)ゼロに近いとは思いますが。

さて、そんな中で私は一昨日4回目のワクチン接種を受けてきました。

「4回目のブースター接種は免疫系を弱める」という説もありますし、世界に先がけて4回目接種を行ったイスラエルでも、オミクロン株の感染拡大は防げなかった現実は、ちょうど半年遅れで今の日本を直撃しているようにも見えます。

副反応は予測していましたが、翌朝から軽い吐き気、強い倦怠感と関節痛があり、熱は38.5℃まで上がり、日付を跨いでやっと平熱に下がりました。今日は腕に少し腫れがあるだけ……と思っていたら遅れて軽い頭痛がやってきました。

ワクチン反対派や懐疑派の友人や知人は、そんな怖ろしい注射をなぜするの? と不思議がります。
未確認な情報が多すぎますが、日本国内でワクチン接種後に死亡した人=1500人は確かに少なくない数字です。それでも、コロナ感染で亡くなったとされる3万人の大半が持病のある高齢者。私のような基礎疾患を持つ年寄りにとって、コロナの重症化を防ぐには今のところワクチンに頼るしかない……と思って今そこにある藁=ワクチンに縋った次第です。

前置きが長くなりました。

接種の日は仕事を休みにしましたが、予約が午後の遅い時間だったので、午前中にはビデオ・オンデマンド(Amazon Prime Video)で『プロミシング・ヤング・ウーマン』を観ました。
去年のアカデミー賞にも複数部門でノミネートされ、制作・監督・脚本のエメラルド・フェネルが脚本賞を受賞した映画です。
ジャンルはスリラーとなっていますが、ブラックユーモア満載のコメディ要素は、一時期のコーエン兄弟にも通じるものがあります。

テーマはリベンジ?
男達への報復であることはオープニングの映像でなんとなく予感させます。

主人公キャシー役はキャリー・マリガン。
そう言えば『わたしを離さないで』も確か役名はキャシーだったような?
最初は、キャシー、じゃないキャリーの『17歳の肖像』や『わたしを〜』の頃の童顔でイノセントなイメージからの変貌ぶりに、別人かと思うほど驚きました。
『ドライヴ』でも、『華麗なるギャツビー』の予告編(予告しか観てません)でもあまり変わっていない印象でしたが、『華麗なる〜』もこの映画の撮影の7年前ですから、変わっていても当然ですね。
ただ、映画の冒頭のように厚化粧だとかなり怖い女のイメージですが、それは監督の狙い通りでしょう。
彼女はメイクで別人のように変わりますね。
もちろん年齢なりの変化はありますが、メイクを落とすと(ナチュラルメイクにすると)イノセントな可愛らしさは健在です。

ネタバレになるのでストーリーは明かしませんが、観ていて途中で先が読めてしまいました。
……と思ったら、なんと驚きの展開!?
いやぁ、オスカーの脚本賞も頷けます。
キャシーの命懸けのリベンジには拍手を送りたくなりました。

男性の中には、この映画をフィクションとして観れない人もいるのでは?
そんな人、私の周りにはいないと思いますが。
でも映画と同じような被害に遭った女性は少なくないと思うので、監督はそんな男にこそ観て欲しいと思っているのでしょう。
この映画を観て腹を立てたり不機嫌になる男性がいたら要注意?

もし現実世界で目の前にこんな女性がいたら、私も親友のお母さんと同じように「君には未来があるから前に進もう」と言えるでしょうか?
それとも、リベンジを手伝おうとするか?
或いは、身近な弁護士に相談する?

黙って見過ごすことはないと思いますが、リベンジを手伝うことはないと思います。
先ずは弁護士に相談ですね。
フィクションなら爽快でも、現実のリベンジは後味が悪いですから。


老人は死なず、リベンジはフィクションにとどめたい
(2022.7.29)

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