第91話 フェランキング二位の女

文字数 3,192文字

 世界の中央部には、広大な中央平原が広がっている。
 中央部は肥沃な土地なので、国が最も多い。
 だが一部分だけ、ポッカリと国の空白地帯がある。
 そこは、人間領域ではない。
 異種族・エルフのベンゲル国がある。

 エルフの外見は耳の先端が尖り気味で、色白な肌が特徴的だ。
 個々の身体能力と魔力は、ともに人間を凌駕している。
 南部の異種族・ドワーフとは犬猿の仲だ。
 しかし戦争にならないのは、互いの実力が均衡しているためと言われている。

 そんなエルフと接触した経験を持つ人間は、ほとんどいない。
 さらにベンゲル国への入国経験者となると、公式記録では誰もいない。
 そんなベンゲル国には、「エルフの妙薬」と呼ばれる秘宝が存在すると言われている。
 ただし、誰もベンゲル国やエルフの正確は知識は持っていない。
 公式上、人間は誰もベンゲル国に入国していないのだから当然だ。

 だから妙薬の効果は、不老不死とも無敵化とも言われ、ハッキリしていない。
 
 誰もベンゲル国に入国できない原因が、ベンゲルを囲む「迷いの森」だ。
 入って出てきた者は、これも公式記録上、誰一人いない。

「カザマン国は独裁国家ゆえに、
 兵士達は拷問のような訓練を受けている。
 そのカザマン兵の大隊が、秘密の森に挑んだ。
 結果は、私達がカートンで見たとおりだ。
 ズタボロだったぞ」

 グランのベンゲル国行きに、セレナが異を唱える。

「では、聞こう。お前達は、今の強さでブラムスを落とせるか?
 血吸いの女王・ローラを討ち取れるか?」

「それは……今は無理ですけど、私達だって日々精進していますし……」

「血吸いどもは、待ってくれんぞ。
 何のために奴等がカサン、そしてカートンと人間領域を侵略し、
 ドラゴンを隷下に置いたと思う?
 人間を、根絶やしにするためだ。
 奴等は人間を食料とし、飲料とする。
 管理する手段が確立されたと見るべきだ」

 ユリアの発言を遮り、グランが理詰めで説得を試みる。

「私達だけで戦うわけではない。
 多くの国々の軍隊はもちろん、
 世界ランキング上位ランカーのパーティと共闘することになる。
 個々の力を伸ばすためとはいえ、秘密の森に入るべきじゃない。
 自殺行為だ」

 この世界の人間達は生まれた時から、三つの場所を禁忌として教えられる。
 北部の天空の塔。
 南部の砂漠迷宮。
 そして、中央部の秘密の森。

 グランと他のメンバー達の間に、険悪な空気が流れ始める。

「グラン。その話は、今夜の戦いが終わってからだ」

 マギヌンが間に入る。
 グランにとって、マギヌンはかつての同じパーティ仲間だ。
 彼の顔に、泥を塗るわけにはいかない。
 そして現状、セレナパーティのメンバー達を言葉で説得するのは無理だ。
 そう判断したグランは、

「そうだな。今はまず、今夜の排他領域奪還に集中しょう」

 グランが折れると、一同の間に安堵の空気が流れた。


 *******************************


 排他領域討伐隊は、夜道を進軍していた。
 夜の警備は、巨人が(にな)っている。
 その巨大さゆえに、遠方の松明(たいまつ)の灯りでも発見されてしまう。
 そこで松明の灯りに、グランとユリア、クロエ達が姿隠しの魔法をかけた。
 これで進軍する兵達は辺りを照らせるが、排他領域を守る巨人からは、灯りが見えない。
 接近を気付かれることはない。

 黙々と進軍する。
 兵の数は、一個中隊二百名。
 充分とはいえない。
 が、これ以上多く兵を移動させれば、目立つ。
 マギヌン不在が、抵抗勢力にバレる。
 しかし討伐隊に、マギヌン同行は不可欠だ。
 兵の士気が上がる。
 それ以上に、ミルン王も懸念している問題を、彼が解決したという実績が重要だ。
 それも、現場に出向いて戦って。
 結果、支持勢力は盛り上がり、抵抗勢力は戦意を削がれる。

「マギヌン。もうじき、排他領域だ」

「ああ、そうだな。ここらで最後の休憩と装備の調整を行おう」

 グランとマギヌンが協議し、討伐隊は休憩を取ることになった。
 戦闘前の、これが最後の休憩だ。
 深呼吸する者。
 神に祈りを捧げる者。
 装備を確信する者。
 座って、排他領域の方向をジッと見る者。
 過ごし方は様々だ。
 共通しているのは。誰も恐怖を抱いていないこと。
 短い休憩時間の有意義な過ごし方を知っている。
 マギヌンが彼等を「精鋭」と呼ぶのが頷ける。



『鏡に映る自分は傷つける。その鏡を割れるのは明日の自分だけである』。

 ユリアはまた、内なる声を聞いた。
 それが未来を予見しているのは、分かった。
 ただ、未来のどの時期か分からない。
 そして具体的に何が起こり、どうすればいいのか分からない。
 けれど、内なる声を信じて戦えば、負けないことだけは分かる。



 短い休憩時間を最も有意義に使ったのは、冒険と性交に秀でたグランとマギヌンだった。

「毎晩、私にイチネンボッキを注入する約束だ」

 そう言うセレナを、グランは犯してやる。
 セレナが倒木に両手をつき、尻を高く掲げる。
 二つの女の穴が、グランのイチモツを誘う。
 両方の穴を交互に、グランは巨根で貫いてやる。

「あっ……あっ、グッ……」

 姿隠しと消音魔法を使っているが、近くで休憩している兵士達に見つかるリスクはある。
 セレナは人差し指を噛みながら、必死で声を押し殺す。
 「大勢の男の人達に、見られているかもしれない」。
 セレナの高いプライドを粉々にする、この卑猥な状況だけで、イッてしまいそうだ。
 しかも、大っ嫌いなグランに犯されている。
 その屈辱もまた、欲情を燃え上がらせる。



 マギヌンはバトルマスターだが、魔法戦士でもある。
 ミーシャと協力して、姿隠しと消音魔法を使う。
 戦闘前に、この二つの魔法を平気で発動できるのは、魔力が無尽蔵なグランだけだ。

 マギヌンは、鎧についた前垂れを外す。
 ズボンとパンツをズリ下して、深夜の故郷でイチモツを解き放つ。
 大きさはグランに及ばないが、固く、先端が尖っている。
 血管が浮き出て(たくま)しい。
 そんなマギヌンの前でしゃがみ込み、ミーシャは口で上官にご奉仕する。
 戦闘を前に、上官のイチモツは熱く猛り狂っている。
 それを口で包み込み、唾液まみれにし、舌を絡ませる。
 そうやって、イチモツの猛り狂った怒りを落ち着かせる。

「手を使うな」

 普段の人たらしな仮面を脱いだマギヌンは、冷たい表情をしていた。
 それは女を凌辱し、調教する男の顔だ。
 女を犯すときのグランに酷似している。
 マギヌンもグランと同じく、特級の凌辱師であり調教師だ。

 イチモツの根本や玉袋を揉んでいた手を放し、ミーシャは口だけでイチモツをしゃぶる。
 頭を前後に激しく揺らす。
 ジュボジュボッ。
 唾液まみれのおしゃぶりが、卑猥な音を立てる。
 マギヌンはミーシャの頭を抑え、自分の腰を前後に振る。

「さすが、フェランキング二位だ。いつもながら、見事だ」

 マギヌンが褒めている間、ミーシャは上目遣いで彼の顔をしっかりと見詰めている。

 世界ランキングがあるように、性界ランキングもある。
 ほぼ全てのジャンルの上位は高級娼婦が占めているが、ミーシャはフェランキング二位だ。
 女諜報員は、ハニートラップが必要なときもある。
 ミーシャの場合、貧乳はハンディだ。
 だが口戯は、そのハンディを補って余りある。

 世界で二番目に上手な口に、マギヌンはグランに負けない特濃汁をぶちまけた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み