第26話 尻アウも何かの縁。そして、毒語高齢者。

文字数 4,419文字

「あっ、あっ、ああっ、ああむぅ、ああっ、むふうぅっ!」

 二本指で尻穴をグリグリと捻られる。
 しかし決して乱暴ではない。
 むしろ、ミンは尻穴から熱い欲情が体中に広がるのを感じる。

「ああ、痒い……痒い! 痒いの! 痒い! 何とかして! 痒くてたまらないの!」

 ミンは尻をブンブンと左右に振りながら、絶叫した。
 グランの媚薬が、早速効いてきたようだ。

「ほぐれ具合はいいな。それで、ミン。どこがどうしたのか、正確に報告しろ」

 自我を失って狂うミンと、どこまでも冷徹なグラン。
 踏んだ場数が違う。
 この時は、媚薬を塗った・塗られたの差が大きいが。


「お、お尻が痒い! 痒いの!」

「尻肉が痒いのか? なら、かいてやる」

 嘲笑しながら、グランがミンの尻肉を乱暴に揉む。

「違う! …‥‥っ! お尻の穴……穴よ! お尻の穴が痒いの!
 限界よ! お願い! 痒いお尻の穴を何とかして!」

 涙目で訴えるミンの髪を優しく撫でてやりながら、

「よく言えたな。後は任せろ」

 手でミンの腰を抑えて固定したまま、グランはもう片方の手で下肢のローブをはだけ、肉棒を取り出す。
 根本を掴み、先端をミンの尻穴にセットする。

「ヒッ!」

 尻穴に、縦割れした肉が当たった感触で、ミンが短く悲鳴をあげる。
 しかも当たった面積の広大さで昨夜の巨根具合が思い出され、全身に鳥肌が立つ。
 ズブリ。
 亀の部分が、尻に入ってきた。

「ハッグウウウウウッ!」

 亀で尻穴が大きく口を開ける。
 背筋がゾクゾクする。
 と同時に、身を焦がすほど熱い火照りと欲情も襲ってくる。
 ズブズブと、グランの肉棒が尻穴を広げるように侵入してくる。

「アッウウウムウウウッ!」

 尻穴からの圧で息が詰まりそうだ。

 ミンが喚こうと、グランは慎重かつ楽しみながら、尻穴に肉棒を埋めていく。
 やはり尻穴は、開発段階が最も楽しい。

「ハムゥゥゥゥゥゥッ! も、もう……ム……り……」

 まだ肉棒の半分ほどしか埋まっていないが、ミンはたまらず降参する。
 ミンの絞り出すような降伏の声を聞いて、

「初めてだし、これだけ開けばいいか」

 そう言うと、グランはゆっくり腰を動かしてピストンを開始する。

「あっ、グウッ!」

 肉棒を尻穴に出し抜きする度に、ミンが唸りをあげる。
 額に脂汗をかいているが、顔には明らかに愉悦が浮かんでいる。

「初めてで、尻穴の良さが分かるのか。尻穴の才能があるな。
 よし、これからタップリその才能を開花させてやるぞ」

 尻穴初体験のミンが歓びを見せたことで、グランは張り切る。
 尻穴をより深く差し、ピストンの速度を上げる。

「アグッ! ハアァァァァァッグッ! アッグォォォーッ!」

 ミンの口から洩れる喘ぎが、獣じみてくる。

「よし、いい流れだ。
 そうやって、お前のポテンシャル開花を阻害する過去をブチ壊してやれ!」

 グランが喝を入れる。

「アギャウゥゥゥッ!」

 ミンは吠える。

 まるで生まれ変わったようだ、な。
 かつては無口でクールだった武闘家の変貌ぶりに満足しながら腰を振っていると、グランに第一波がくる。

「さすがは締め付け女王だ。
 もう俺をイカせるとは。よし、尻穴に出してやる」

 尻穴に突き刺さったグランの丸太のような肉棒が、ドクンッと鼓動する。
 直後、ミンの腸を破裂させるほどの精子が大砲のように放たれる。
 グランが肉棒を引き抜くと、腸の壁に当たって跳ね返った精子が、ドロドロとミンの綺麗な尻を汚し、太腿裏から脛まで垂れてくる。
 下半身だけ別の生き物のように痙攣させていたミンが、しゃがみ込んでしまう。
 グランはその前髪をグワシッと掴む。

「俺の鍛錬は、誰よりも厳しい。お前に休む暇など、あたえない。
 お前の戦闘力は、魔力によって飛躍的に向上する。
 その魔力を注入する肉棒に、感謝の口を捧げろ」

 息一つ乱していないグランが、ゼイゼイと荒い息遣いのミンに命ずる。
 ミンの返事を待つまでもなく、その口に肉棒を突き刺した。

 魔力は、体の外側からも魔素(まそ)を集める。
 だが、体内に秘めた魔素(まそ)の方が密度が濃い。
 魔素によって構成される魔力は生命力や知力、体力などと密接に繋がっている。
 よって、魔素が増大する、つまり魔力が増大すれば、魔法使いでなくても、強さを手に入れられる。
 その強さを手に入れつつあるミンも含め、グランはセレナパーティの列の順番を元に戻した。
 消音魔法も、もちろん解いた。

 デスフラッターをほぼ壊滅させ、残党は逃亡した。
 パーティメンバー全員が、この程度の魔物ならかすり傷一つ負わない。
 汗はかき、息は多少乱れるにしても。

 グランの黒魔法は目立たないが、大きな役割を果たした。
 それは認めざるを得ない。
 そのことに苦い思いをしながら、セレナは仲間を見回す。
 先頭を歩くミンの足取りが、やや覚束(おぼつか)ない。

「ミン、大丈夫か?」

 セレナが問うと、ミンが振り返った。
 その顔を見て、セレナは一瞬たじろいだ。

「ええ、大丈夫よ」

 そう言うミンの顔は、今まで見たことがないほど(つや)やかだった。
 しかも、うっすらと笑みさえ浮かべている。

 後方を歩くクロエはミンを睨みつけ、

(あの女狐、またグラン様に精をいただいたのね。このパーティで初めに精をいただいたのは、私なのよ。あんな泥棒猫に、イチネンボッキは渡さないわ!)

 嫉妬の炎を燃やし、宣戦布告した。



 山岳地帯を抜けると、足場のいい道が続いた。
 先の山岳地帯と違い、下は土だ。
 なので、カザマン大隊の足跡は、グランの魔法無しでも追える。
 セレナパーティは順調に、大隊の足跡を追いかけることができた。
 そして、夕暮れ時が迫った。
 その時。

「セレナ。全員に戦闘準備をさせろ。終わり次第、敵中隊に切り込むぞ」

 いつもと変わらぬグランの声音だが、その内容にメンバー達は緊張した。
 グランに命令口調で言われたことが気に入らず、

「ここから、敵は目視できない。ここで待機するか迂回して、奇襲をかけるべきだ」

 と反論する。

「中隊を率いているのは、上等ミノタウロスだ。人語を解し、魔法も使える」

 グランの言わんとしていることが分からないセレナは、眉間に皺を寄せる。

「敵も使い魔を飛ばしたんだ。俺達は見つかった」

 セレナはヒュッと一瞬息を吸い込むと、

「全員、戦闘準備! 終了次第、行軍陣形を組め!」

 と号令をかける。

 グランの言ったことは半分本当で、半分嘘だ。
 確かに、上等ミノタウロスは使い魔を放った。
 だが見つかる前に、自分の使い魔で殺した。
 セレナパーティは見つかっていない。

 グランが嘘をついたのは、早く前進したかったからだ。
 グランは、感じていた。

 彼女が――リーナが近づいてきている。



 洞窟の中で、リーナパーティは大雨が止むのを待っていた。
 視界が効かないほどの豪雨だ。

「やっと暴れられると思ったら、雨かよ」

 忌々しげに、ムサイが吐き捨てる。
 早く敵を斬りたくて仕方ない。

「全くだ。奴等が、この洞窟まで来ればいいんだ」

 ウザイが地に唾を吐く。

「この洞窟に、デスパロットが二百匹はいたわ。
 その討伐で、少しはストレス減ったんじゃない?」

 鬱屈した雰囲気を明るくさせようと、リーナが務めて軽い口調で言う。

「あんな雑魚、一瞬で全滅しちまったじゃないか」

 ターリロの言うとおりだった。
 デスパロットは体表が赤い蝙蝠で、鋭い爪先に、麻痺毒を仕込んでいる。
 だが、リーナパーティの敵ではない。
 戦闘に飢えた全員で戦うと、アッという間に全滅させてしまった。
 それでも何とかメンバーの士気を向上させようと、リーナが口を開きかけ――感じた。

 彼が、近づいている。
 グランが近くにいる。

「ニンチ、雨はどれくらいで止む?」

 洞窟の入り口付近で瞑想していたニンチが、ゆっくりと目を開ける。
 単に、居眠りしていただけかもしれないが。

「うーん、そうじゃなあ……雲の流れからみて、後十五分ほどか」

 賢者なのに魔法を用いず、雲の流れで天候を読む。
 レンジャーであるまいに。

 グランがいてくれたら。
 それはリーナだけではなく、程度の差はあれ、メンバー全員が考えてしまった。
 グランなら、一秒の狂いもなく、雨が上がる時間を言い当てるだろう。

「あと十五分で雨が止むなら、出発するわ」

 出発準備を始めるリーナに、メンバー達が驚く。

「正気か? これだけの雨に打たれたら、どれだけ体力を奪われると思う?」

 ムサイが、リーナに食ってかかる。

「あんたは、早く戦いんじゃないの?」

「もちろんだ。だが、敵の質と量を考えると、万全の状態が好ましい」

「では戦闘前に、ターリロに体力補充の魔法をお願いしょう」

 突然フラれたターリロは、

「分かった……けどよ」

 と不満顔だ。
 上等白魔道士が、何が悲しくて、雨で削られたパーティメンバーの体力補充に魔力を割かねばならないのか。
 これでは、自分が万全の状態で敵中隊と戦えない。

「視界と足場が悪過ぎる。敵の奇襲を受けたら、危険だ。
 こんなとき、グランの奴がいれば……」

 そこまで言って、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるウザイ。
 グランがいれば、四方が暗闇でも、奇襲など受けることはない。

 聞かなかったことにしたリーナが、

「ニンチ、この雨でも使い魔を飛ばせるわよね? 敵の奇襲は防げるわよね?」

 と陽気な声でニンチに話をふる。

「ううむ」

 できるのかできないのか、判断がつきかねるニンチの返答。
 目をショボショボさせている。
 眠そうだ。

 思いっきりリーナは不安だが、使い魔なら自分も飛ばせる。
 他のメンバーも、天候や地形に合わせた奇襲防止策をとれる。
 同じ結論に至ったらしく、他のメンバー達が手早く出発の準備を終える。

「行くわよ!」

 リーナの号令を合図に、前衛のウザイとムサイが豪雨の中へ飛び出す。
 やや間隔を開けて、リーナ、そしてターリロも飛び出す。

 よっこらしょと、ニンチが腰を上げる。

「血吸いの女王めが、本気でレイジ国を潰しにかかったんじゃがな。
 すでにブラムスは、一個旅団を派遣したんじゃが。
 上等ミノタウロスだの中隊だの、言っておる場合ではないと思うがのう」

 洞窟で独り話し終えると、ニンチは億劫そうに雨の中へ進んだ。
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