第21話 処女でも感じさせる。それがイチネンボッキだ

文字数 3,925文字

(呼吸は乱れた。これで気功は打てない。後は一瞬の隙があれば、充分だ)

 グランが算盤(そろばん)を弾く。
 そんなグランに、ミンが飛びかかろうとしたとき、

「ミン。私はもう、グラン様のものよ。あなたも早く、こっちにいらっしゃい」

 クロエがミンに呼びかける。

 ミンは視界の隅で、クロエがローブを脱ぎ捨てたのを見た。
 全裸だ。
 ダメだと分かっていても抵抗できない。
 童顔によく似合った白く透明感のある肌と、顔に不似合な巨乳が見えてしまったから。
 ミンの目の焦点が一瞬、クロエに向く。
 その一瞬をグランは逃さない。
 一気に距離を詰め、ミンの顔がのけぞるほど、セミロングの髪を後ろに引っ張る。

「ああん!」

 ミンの口から激しい喘ぎが洩れる。
 そのままの姿勢で、グランが耳元に口を寄せる。

「いい声で鳴きやがる。昼間の無愛想ぶりが嘘のようだ。
 もっと鳴かせてやるからな」

「こ、この恥知らず……!」

 急所の髪を強く引っ張られているので、ミンは体に力が入らない。

「戦う乙女・ヴァルキリーにおいて、色恋沙汰はご法度だろう。
 特にそれがヴァルキリー内なら、国も神殿もタダでは済ませないだろう。
 俺には、お前達の証拠がある。
 お前とオルグが仲良くやっている場面を見て、脳内に記憶した使い魔だ。
 魔法一つで、映像化できる」

 ミンが鋭い目でグランを睨む。
 なので、グランはさらに強く髪を引っ張る。

「いやん!」

「話は最後まで聞くもんだ。俺は、その使い魔を使う気もない。
 あくまで、お前が進んで肉体を俺に捧げるんだ。分かったか」

 そう言って、グランはミンの唇を奪う。
 ミンは必死に口を閉じようとするが、無駄な努力だ。
 グランに、薄く意思が固そうな唇を吸われる。
 グランの舌の推進力の前に、唇は無力で、口内に侵入を許してしまう。
 入り込んだ舌はそれが意思を持った生き物のように、歯を舐め、舌に絡み、唾液を器用に送り込んで飲ませる。

「うぅん……」

 先程までオルグと体をまさぐり合っているので、熱い火照りが冷めていない。
 そんな体に濃厚なキスをされると、それだけで感じてしまう。
 しばらくミンの口内を堪能していたグランの舌が、頬やうなじを舐め始める。
 露出した皮膚を舐められる感触に、

「あんっ!」

 と感じてしまう自身が情けなく、悔しい。

 恋人のオルグを人質にとられた。
 魔法戦では、絶対に勝てない。
 知能線や心理戦も同様だ。
 肉弾戦でも、結果は怪しい。
 さらに、ヴァルキリーの掟を破った証拠まで握られている。

 だがグランは、どれ一つ使っていない。
 せいぜい、クロエに手伝わせている程度だ。
 どれか一つでも使って脅されれば、自分は大人しく犯されるしかない。
 ……だから、だ。
 自分という女の逃げ道を全て奪った上で、あえてそれを使わず、性の快楽だけで堕とすつもりだ。

 グランという男は、性交のシンボルのような存在だ。
 この男は、どこまで性欲に忠実なのか。
 どこまで性交に貪欲なのか。
 どこまで性交を楽しむことを、生きがいにしているのか。 
 どこまで、女を性の奴隷と見下しているのか。

「や、やめて。私はあなたみたいな人間に……
 男に愛撫されるぐらいなら、死んだ方がマシだ」

 目に涙を溜め、その口調は普段の彼女から想像できないほど弱い。
 しかし、目は死んでいない。
 まだ闘いを、あきらめていない。

「髪が性感帯などと珍しい体質を持ち、決して屈しない闘志も合わせ持つ、か。
 素晴らしいな。
 犯しがいも落としがいも充分ある」

 グランの口が(いびつ)に笑う。

「だ、誰が、あんたなんかに……ウッ!」

 言いかけて、ミンは乳を鷲掴みにされてしまう。
 武闘家として鍛え抜かれた体は、無駄な脂肪がついておらず、引き締まって美しい。
 乳はクロエに比べれば大きくないが、お椀型で形がいい。
 揉んだ感触も、ほどよい弾力と胸肉のサイズで、乳揉みだけでも男を楽しませる女だ。

 片手で後ろ髪を引っ張り、片手で薄着の武闘着を脱がせにかかる。
 まず、帯紐をほどく。
 ワンピース状の武闘着を体に拘束しているのは、帯紐だけだ。
 だから帯紐が地面に落ちるのと同時に、武闘着の右側全体の生地は支点を失い、だらしなく垂れる。
 グランはそんな武闘着を脱がすべく、再び手をかける。

「本当にやめて! どうして私が……男なんかに……
 汚されないといけないの……!」

 ミンという女が、凝縮された言葉だ。
 戦う乙女・ヴァルキリーは設立経緯やその性質上、男を見下し、不純なものと見なす。
 クロエは例外で、異常な淫乱女だった。
 加えて、快楽と精への適応力が早かった。

 ヴァルキリーの下級兵士でも、男を下に見て汚らわしいと唾を吐く。
 ましてミンは、幼い頃から自分を律して戦うために鍛えられた。
 地を這い血反吐を吐きながら、実践をこなしてきた。
 そして、世界ランキング二位の座を手に入れた。
 登り詰めた。
 男という種は彼女にとって、見るも汚らわしい害虫と同等だ。
 そんな価値観だからこそ、グランは徹底的に犯してやろうと思う。
 女は、男を歓ばせるために生まれてきたのだ。
 それが存在意義だ。
 そんな世の真理を叩き込んでやることは、男の義務であり、最高のロマンだ。

 武闘着に手をかけたグランが、

「次の都市だか街に着いたら、俺好みでお前に合ったスケベな武闘着を買ってやる。
 そのスケベ武闘着を着て、乳や生脚、パンティを見せながら戦うんだ。
 それが牝の武闘家のあるべき姿だ」

 ニヤけて言うと、ミンから一気に武闘着を剥ぎ取る。
 均整がとれた肢体が露わになる。
 腰はくびれ、鍛錬で鍛えた胸筋上では、張りと弾力ある形のいい乳がプルンッと震える。
 綺麗な円を描く乳輪にのった大きめの乳首は強気の象徴のように、プイッと上を向いて尖っている。
 クロエの白くて透明な肌とは違い、血色のよい綺麗な肌だ。
 所々についた筋肉で、女体の卑猥さが増している。
 白いパンティは、中央部がこんもりと盛り上がり、陰毛がやや透けていた。

「いい体だ。今からこの体を舐めて触り、犯しまくってやるからな」

「イヤッ!」

 ミンが身悶えするも、その動作すら男を煽っているようだ。

「み、見ないで! あんたみないな汚らわしい男に、
 体を見られ……アッ! アン……」

 形のいい乳を乳首ごと上から鷲掴みにする。
 乳を揉んでやると、押し返してくる弾力が心地よい。

「クロエ、この女の髪を引っ張ってろ」

「はい」

「ウンッ!」

 クロエは素直にグランからミンの髪を受け取り、引っ張る。
 新たに髪を引っ張られたミンが、露出した肢体をいやらしくくねらせる。

 グランの命令にどこまでも従順で、仲間のヴァルキリーでさえ、犯す手伝いをする。
 もうクロエの精神は、牝まで堕ちた。
 後は、牝奴隷としての行儀作法を教えてやるだけだと、グランは満足する。

 クロエにミンの髪を引っ張らせているので、グランは両手が自由になる。
 その両手で、ミンの乳を両方とも揉みしだき、乳首を摘まみ、捻ってやる。

「アッ、アフゥン……」

 ミンが鼻から抜けるような喘ぎを洩らす。
 どれだけ精神を鍛えようと、体は正直だ。
 そして、体と精神は結び付いている。
 肉体の快楽は、精神を(とろ)けさせる。
 グランはなるべくミンの目を見ながら再び、頬や耳をベットリと舐め、うなじにキスして舌を這わせる。

「ウンッ! イヤンッ!」

 こそばさに潜む快楽で、ミンが肢体を捻って逃れようとする。
 クロエに髪を掴まれているので無理だが。
 そのまま、グランはミンの脇腹をサワサワと手で撫でてやりながら、鎖骨を舐める。

「ハウッ!」

 思わず声をあげるミンを、憎々し気にクロエは睨む。
 自分がグランにしてもらっていない愛撫だ。
 湧き上がる嫉妬で、髪を引っ張る腕に力が入る。

「よし、味見してやる。俺が満足できるように祈れ」

 グランはミンに横柄に告げると、ツンと上向いて尖った乳首を唾液まみれにして舐め、千切れんばかりの勢いで吸う。

「オオオオオンッ!」

 ミンの肢体が前後にガクッと痙攣する。
 感じやすい女だ。
 処女でも感じさせるスキルが、イチネンボッキだ。
 そしてそれは、ラント国の凌辱師と調教師から受けた鍛錬とその後の実践で身につけたスキルでもある。

「片乳だけで、いい反応をする。さすがは淫乱武闘家だ。
 いいか、お前は誇り高き武闘家でも何でもない。
 ただの感じやすいスケベ女だ。分かったな?」

「な、何を……この下衆……アアアアアンッ」

 言い返そうと鋭い目つきでグランを見た瞬間、胸部に走った快楽の電流で思わず目を閉じてしまう。
 グランがもう片方の乳首も同様に、口で愛撫したから。

「イ、イヤ、そこだけはやめて!」

 グランが乳首を甘噛みしながら、パンティの上からミンの秘部を撫でる。
 思わずミンは懇願してしまう。

「俺はヴァルキリーがセックスしても一向に構わん。
 だがお前は、去勢野郎と性交しやがった。
 ホモともレズとも呼べない。俺はそんな中途半端な人間が大嫌いだ。
 だからお前は、男無しでは生きられない体にしてやる」

 宣言したグランが、ミンのパンティを膝まで一気にズリ下ろす。
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