第15話 おしゃぶり読書の午後

文字数 3,131文字

「まあ、美味しいわ」

「ウマイな!」

「美味しいです!」

 グランが案内した店で、冷えたビール片手にフワを食べたユリア、レスペ、クロエが歓喜の声をあげる。
 店の雰囲気も少々騒げる程度で、丁度いい。
 ミンも美味しそうに食べているが、彼女は武闘家だけあって、食事に感想を言うことは無い。
 食材と食べられること、それ自体に感謝を捧げている。
 セレナはなぜか、表情を殺している。

 俺が紹介した店を意地でも褒めたくない、か。
 パーティリーダー、それもヴァルキリー分隊長の意地が出てきたか。
 グランに内心を見透かされていることなど知る由もないセレナが、

「セレナ。グラン様のパーティ入りを、神殿は許可しているんだよね?」

 とクロエから質問を受ける。
 複雑な表情をしたセレナが、

「神殿は許可している。王も許可するだろう」

 とぶっきら棒に答える。

 予想していたこととはいえ、メンバー達の表情は様々だ。
 ただし「驚き」は、メンバー達に共通している。

 それが既定路線であっても、改めて聞かされるメンバー達が驚くのは当然だ。
 戦う乙女・ヴァルキリーに去勢の意思なき男が入隊する。
 この珍事は長きに渡るヴァルキリーの歴史上初めてのことであり、異例中の異例なのだから。
 クロエが使い魔を飛ばしたこと。
 そのクロエを攻撃した男達から守ったこと。
 襲った方も守った方も世界ランキング一位のパーティメンバーだ。
 表沙汰になれば、無用な揉め事が起きてしまう恐れがある。
 首脳会議で何かと問題視されていた男を、世界一位から二位に落とせること。
 神殿は教義だけではなく、むしろ政治的な考えを最優先させて決定しただろう。
 むろん、そこには世界一の超大国・ラントの意思が介入している。

 クロエはラントに帰国次第、無断使い魔の懲罰が決まるが、微罪で終わるだろう。
 これまでの彼女の献身と将来性もあるが、むしろ世界一位と二位のパーティ間で波を立てたくないのが、国と神殿の本音だ。
 ドス黒い政治を考えながら口にする酒と料理は格別に旨いなと、グランは満足している。
 混みあった店内を見渡せば、ほぼ全員が武装している。
 休憩中の連合軍に、自警団。
 民間人でも武装するのが、治安悪きこの国の常識だ。
 ラントでは見られない物騒さも、グランにとってはいい酒の肴だった。

「ところで、
 ここでは緊急時の集合場所は決めないのですか?」

 ユリアがニッコリ笑顔で聞いてくる。
 食えない女だ。
 都市・ダイドウでの領主死亡に、グランが何らかの形で関与しているのは、メンバー全員が気付いている。
 それ以外に、何か込み入った事情があることまで、この女賢者は見抜いている。

「俺としたことが、失念していた。
 緊急時は、南門に集合だ」

 グランが素直に非を認めるが、

「いや、東門だ。
 東門を守る連合軍にはラント軍が多い」

 セレナが言い返してくる。
 だが、腹は立たない。
 むしろ、精力が高まる。
 女勇者なのだ。
 誇り高いのはもちろん、鼻っ柱が高くなくては。
 自分の巨根でその鼻っ柱をへし折り、へらず口を叩くその口に、思いっ切り突っ込んでやる。
 その瞬間を想像するだけで、グランは楽しめる。
 想像だけでなく、必ず実現させるが。

「分かった。東門にしよう」

 グランがアッサリ了承する。 
 やや緊張した場が、元に戻る。
 セレナは無表情で口元をナプキンでぬぐっているが、頬が上気している。

 世界一位が言うことを聞いたぞ、か。
 女勇者という人種は、頑固と単純が同居した者が多いなとグランは苦笑する。
 リーナもそうだし、かつて世界二位の勇者だったアビスもそうだった。
 そこで、ふと気付く。
 自分は連続で、世界ランキング二位の勇者を凌辱する最初の男になるのだと。
 口に入れたフワの風味が一層広がった。



 精力によって魔力を増したクロエに、まず教えた魔法が「伝心」だった。
 その存在はもちろん知っていたが、それなりの技術が要求される。
 二回、自分の精を受けた中級白魔導士なら使えるだろうと踏み、それは当たった。

 昼食後、図書館に行くと、文献や書籍の貸出サービスがあるのを知った。
 ただし、身分証明が必要だ。
 そこで、伝心でクロエを呼んだ。
 急いでやってくる姿を見て、そろそろ本格的な調教に入ってもいいなと考える。
 世界ランキング二位なので、クロエの身分証でも図書館職員は驚いていた。
 ペラペラ喋り回るタイプには見えなかったので、記憶改ざんの魔法を使わないことにした。
 あれは未だに、魔力も時間も消費させられる。
 読みたかった薬学と錬金術の文献・書籍を借り、クロエとともに宿に戻った。



 宿の自室に戻ったグランは、窓辺の椅子に座ってゆったりと読書を楽しんでいた。
 その足元では、クロエが四つん這いになっていた。
 黒いローブから象の牙のように突き出た肉棒を、小さな口で一生懸命舐めてしゃぶっている。
 ピチャピチャズビュッズビュッとおしゃぶりの唾液音がするが、むしろグランにとってそれは、心地よい背景音だった。

 クロエには、ローブを脱がないよう命じてある。
 神殿・デーアの紋章を見ながらの口奉仕は、風情があっていい。

「グラン様のペニス、
 伝説にある天空の塔のようにご立派ですぅ」

 クロエがイチモツの先端を、舌先でレロレロと舐めながら見上げてくる。

「伝説ではない。
 実際に行った。
 報告はラント国にも神殿にもいっているはずだ。
 まあ、最高幹部達が極秘情報に指定しているだろうがな」

「す、凄いです、レロレロ、
 神話に登場する天空の塔に行ったなんて。
 ムチュッムチュッ」

 クロエが裏筋を丹念に舐めては軽く吸う。
 目に見えて、おしゃぶりが上達している。
 昨夜、色々と叩き込んだ甲斐があった。

「ハムッハムッ、天空の塔はどんな所だったんですか? ムジュルッ」

 クロエの口が裏筋から再び先端へ移動する。
 亀を(くわ)えたまま口内で舐め回し、唾液でくるみながら吸い上げる。

「神殿から知らされていないということは、
 ラントやデーアの幹部どもは教える必要が無いと判断したんだろう。
 確かに、下っ端が知っていい情報ではない」

「あん、意地悪ですぅ。ムチュー」

 クロエが肉棒を頬張れるだけ頬張り、思いっきり吸う。
 気管が拡張傾向にあるらしく、かなり奥まで咥えられるようになった。

「初めに比べれば、随分と口が上手くなったな。
 精は俺に下の口から恵んでもらうだけでなく、
 自ら上の口で受けにくる貪欲さが必要だぞ」

「ふぁい。
 ひっひょうへんへい……頑張ります!」

 途中で口からペニスを放したクロエが、グランを見上げながらしっかり返事をする。

「そうすれば、世界一位が見えてくる。
 イチネンボッキを持つ俺についてくればな」

「どこまでも、ついてゆきます」

 クロエが恭しく土下座する。
 ここまでは、まだ調教していない。
 自発的に行ったのだ。
 主従の関係をわきまえ、男をしっかりご主人様と認識する。
 そのレベルまでは、自発的にできているようだ。
 持って生まれた才能がある。
 あとは自分がたった一匹の牝奴隷にしか過ぎないことを、叩き込んでやるだけでいいだろう。

「よし、続けろ」

「はい、グラン様」

 神にしか仕えない聖女は、性女となった。
 祈りではなく、自身の豊満な肉体を男に捧げる性女に。
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