第98話 クッチーマウス

文字数 2,578文字

 余りのグランの非常識ぶりに、ミーシャは固まってしまった。
 グランの愚息も固まっていたが。

「これは、お前にとっても悪い話ではない」

(目の前の変態は、一体何を言っているんだろう?)

 グランの提案に、ミーシャは軽く眩暈(めまい)がした。

「お前は、カートンに派遣されていた。
 だったら、
 カートン戦争でのセレナとレスペの戦いぶりは見ていただろう?
 そして今夜、その二人の戦いぶりを再度見た。何か気付かなったか?」

 グランの言いたいことが、ミーシャにも分かってきた。

「セレナとレスペはカートン戦争後、俺に抱かれた。
 つまり、イチネンボッキを注入された。結果、どうだった?」

 ミーシャはグッと詰まった。
 言い返せない。
 グランの指摘どおりだから。
 イチネンボッキ投入前とその後では、二人の戦闘力はまるで違った。

「お前は、女諜報員だ。ハニートラップも経験済みだろう?」

 その通りだ。

「……確かに私は、ハニートラップで敵に数回抱かれました。
 でも最近は、マギヌン将軍が私にハニートラップを命じません。
 それはつまり……」

「お前、自分だけがマギヌンの女だと思っているのか?」

 グランの呆れ声。
 その一言は、ミーシャに落雷のような衝撃をあたえた。

(た、確かに……将軍に抱かれているとき、他の女の匂いがした……。
 ああ、私は諜報員失格だ。色恋沙汰で、男に騙されるなんて……!)

 自己嫌悪に陥るミーシャ。

「マギヌンを悪く思うな。
 あいつは立場的に、ひどい重圧の中で生きている。
 女という逃げ道でも無いと、やってられん」

 その通りかもしれない。
 「惚れた男が、他の女を抱いているから」。
 それが、他の男に抱かれる免罪符になるとは思っていない。
 けれど、イチネンボッキは魅力的だ。
 ミルンは将軍のもと、大国になる。
 そして地理的にも、ブラムス打倒の最前線になる。
 強くならねば。
 ミーシャが、決意を固める。

「そ、それで、私は何をすれば……キャッ!」

 グランに、手首を捻られたままだった。
 その体勢からグランは器用に、ミーシャを抱きかかえる。
 生まれて初めて、お姫様だっこをされた。
 マギヌンにもされたことはない。

(お姫様だっこって、こんなに恥ずかしいの!?
 ……でも、嫌いじゃないかも)

「ちょっ! ……い、いきなり恥ずかしい……」

「黙れ」

 グランに「黙れ」と言われると、不思議と言葉が出なくなる。
 セレナに共感できる。

 お姫様だっこの体勢から、床に下された。
 グランの前で、(ひざまず)く位置に。
 目の前には、グランの股間。
 上等な魔導士のローブ超しでも、莫大な熱量が伝わってくる。


「『本物』を見せてやる」

 そう言うと、グランは下肢のローブをはだけた。
 ビロロンッ! 
 人外の男根が現れる。

「何これ! 大き過ぎる!」

 常軌を逸した巨根ぶりに、思わずミーシャは叫んでしまった。
 慌てて口を塞ぐ。
 兵舎の壁は厚いが、住人は全員、諜報員だ。
 誰がどんな方法で聞いているか、分かったものではない。

「心配するな。兵舎を消音魔法で覆った。
 この部屋の音が洩れる心配はない」

 人外のイチモツの持ち主は、魔力も人外だ。

「フェランキング二位の実力を、見せてみろ。
 俺を口でイカせられたら、本物だ。それとも、自信が無いか?」

 グランの言葉で、ミーシャのお口魂に火が点く。

(絶対に、お口でイチネンボッキを勝ち取ってみせるわ!)

 戦闘態勢に入ったミーシャが、グランの巨根に手を這わせる。
 優しく、時に力強く。
 緩急をつけて、イチモツをさする。
 世の男の九割は、最初のお手々ご奉仕だけで、逝く。

「なるほど、さすがだ。手だけで、これだけの快感を男にあたえるとは」

 言葉と裏腹に、グランの表情も声音も変わっていない。

(お手々は、開戦前の号砲よ。さあ、いざ!)

 縦に割れたイチモツの先端を、ミーシャが舐め上げる。
 長い舌を見せつけるように。
 舌自体が意志を持った生き物のように、丁寧に、時に激しく舐める。
 さらに、先端の亀全体を舐め回し、口に含む。
 口の中で先端部をジュルジュルと吸いながら、舌を絡めていく。
 その間も、手は巨大な棒をさすり続ける。

(最初の一手は打ったわ。さあ、次の局面に移るわよ)

 ミーシャは大きく口を開けながら、グランの棒を口内に引きずり込んでいく。

(砂漠が水を吸うように素早く自然に。
 アリ地獄のような緻密さで。
 大海より深く広く。
 燃え盛る炎のような激しさで)

 ハニートラップの研修で、口奉仕は上官に教わった。
 実地訓練もあった。
 さらにスキルを上げるため、ミーシャは高級娼館に通った。
 フェランキング上位ランカーの高級娼婦達から、情報や諜報工作と引き換えに、スキルを教わった。
 その教えをミーシャは内心で唱えながら、実践していく。
 フェランキングの上位ランカーになるため、(あご)は鍛えた。
 それでも、顎がはずれそうだ。

(何て巨大な……! まるで天空の塔ね。上等よ。攻略してみせるわ)

 口内は、グランのイチモツで占拠されている。
 まだ半分ほどしか(くわ)えていないのに。
 しかしミーシャは、慌てない。
 鍛えた顎と喉は、巨大さに順応していくからだ。

(今は、口の中にあるイチモツへの奉仕に集中よ!)

 自分に言い聞かせる。
 唾液まみれにし、螺旋(らせん)を描くように舌で舐める。
 口から(よだれ)が垂れた。
 だが構わずに、ジュバッジュバッと音を立てながら、舐めて吸い込む。
 手もサボッていない。
 まだ口に入り切れていない部分を、片手でさする。
 もう一方の手は袋を撫で、軽く揉む。
 両手と口の三点攻めだ。

「……見事だ。形容する言葉が見つからないほどにな」

 口奉仕しながら、ミーシャはグランの顔を見上げる。
 グランも、ミーシャを見下ろしている。
 互いの目が合う。
 グランの表情と声音に、変化が現れた。
 世界一の魔法使い陥落へのカウントダウンが始まった。
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